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地熱発電所の蒸気生産井回復、JOGMECが福島で成果

地熱発電所の蒸気生産井回復、JOGMECが福島で成果

河川から涵養井に注水

3年8カ月注水、人工涵養

エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は柳津西山地熱発電所(福島県柳津町)の地熱蒸気量を回復する人工涵養事業で、3年8カ月間の連続注水によって生産井2本で蒸気量の減衰が止まり、ほぼフラットな状態に回復したことを確認した。奥会津地熱(福島県柳津町)と福島再生可能エネルギー研究所(同郡山市)に委託して進めてきた日本初の人工涵養事業で、地熱発電所の蒸気生産井の回復を示す初の成果となる。全国の地熱発電所で利活用が期待される。(いわき・駒橋徐)

柳津西山地熱の発電規模は、1995年の運転開始時の6万5000キロワットから10年後に4万5000キロワットまで減衰。現在は東北電力系列の発電事業者である東北自然エネルギーが3万キロワットに出力を下げて発電している。

このため発電所の近くを流れる河川から涵養井に注水した水を、地下で高圧熱水として生産井から蒸気で還元する人工涵養を実施。ただ、地下2000メートル前後にある200度―300度Cの貯留槽に水を供給し、多方面に亀裂が走る層から生産井で熱水を多く取り出せるかが課題だった。

試験注入を経て、2020年7月―24年3月に涵養井1本で最大毎時50―60トン、平均同20―30トンを注水。その結果、季節変動もあるが「減衰傾向が抑制・緩和してきた。特に涵養井がある付近の生産井2本では、続いていた減衰がほぼストップした」(JOGMEC)。同発電所向けの生産井は21本あり、他の生産井でも減衰が回復する傾向を示しているという。

今回の実証は、地下貯留槽での水不足を、地中から水を補給し熱水を戻す実践での成果となった。JOGMECは24年度中に実証内容をマニュアル化し、公開する計画。柳津西山地熱発電所での本格運用も含め、全国の地熱発電所での活用を目指す。一方、海外では米ガイザー地域(カリフォルニア州)で人工涵養事業が実施され、発電出力を向上させる成果を挙げている。

日刊工業新聞 2024年08月05日

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