清水建設は材料噴射型３次元（３Ｄ）プリンティング技術を実工事に初適用し、設備基礎となる鉄筋コンクリート柱２体を施工した。在来工法に比べて施工期間を約４割短縮でき、構造耐力と靱性も優れている。今後は造形精度の一層の向上や複雑形状への対応に取り組むほか、新設だけでなく既設の構造物の補修・補強などへの適用を視野に技術開発を進めていく。

ロボットアーム型モバイルプリンターと自動材料製造装置を新たに開発。これらを日本製鉄から受注した瀬戸内製鉄所阪神地区（堺市西区）内の製鉄設備建設工事現場に運搬した。現場ではプリント場所に配置した鉄筋の外周を旋回するロボットアーム先端のノズルからプリント材料を斜め下方に噴射。鉄筋内部への充填が完了した後、表層全体にプリント材料を重ねて吹き付けた。

今回施工した有筋構造部材は断面積が０・４平方メートル、高さが２メートルで、材料噴射から表面仕上げ完了までの時間は１体当たり２時間５０分。在来工法で施工した鉄筋コンクリート部材と同等以上の構造耐力と靱性があり、鉄筋コンクリート構造物の施工に利用されてきた木製型枠の使用量が減ることで環境負荷の低減効果が見込める。