高性能「有機半導体」7種類合成…大阪公立大、AI活用で実現
大阪公立大学の大垣拓也特任助教、松井康哲准教授、池田浩教授らの研究グループは、人工知能(AI)を使い、窒素や硫黄を導入した7種類の新しい有機半導体を合成した。実際に有機トランジスタを作製して特性評価を行い、有機半導体としての高い性能を確認した。有機半導体に加え、さまざまな有機材料の開発に使える手法として期待される。
研究グループは、機械学習モデルで有機半導体の特性予測と分子デザインをした上で、最終段階で多種類の化合物に誘導する、半導体の分岐的合成と物性評価を行った。その結果、有機半導体分子に酸素や窒素、フッ素などの水素結合アクセプター原子を導入した場合、より強固な分子間相互作用が働き、有機半導体の特性が向上することを機械学習により発見することができた。実際に合成した半導体分子においても、その傾向がみられた。
有機半導体は有機ELディスプレーや有機太陽電池など、さまざまなデバイスに応用されている。有機半導体分子の設計段階で特性を見極めることができれば、有機半導体の性能の向上に向け、より効率的な開発方法の創出につながる。従来は、候補となる材料一つひとつを実際に合成してデバイスを作り、評価していた。
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日刊工業新聞 2024年11月14日