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地球上で最も長寿の海洋生物か、7000年生きるサンゴが見つかった

琉球大学などが発見
地球上で最も長寿の海洋生物か、7000年生きるサンゴが見つかった

発見した巨大なツノサンゴ類レオパシス属の群体

琉球大学のジェイムズ・ライマー教授、海洋研究開発機構の藤原義弘上席研究員らを中心とする研究グループは北西太平洋の西マリアナ海嶺の沖合海底自然環境保全地域で、約7000年生きていると推定されるツノサンゴ類の群体を発見した。地球上で最も長寿の海洋生物の一つである可能性がある。深海生態系の理解や海洋保護区の保全に向けた重要な一歩になるという。

研究グループは海洋機構の海底広域研究船「かいめい」と、かいめいに搭載した無人探査機を使い、西マリアナ海嶺の525メートルの深海で通常の数倍のサイズを持つツノサンゴ類の一種の巨大な群体を発見した。この群体は高さ約308センチメートル、幅441センチメートル、基部の直径が28センチメートルに達した。過去の研究による推定成長速度(年間0・02ミリメートル)を基に計算すると年齢はおよそ7000年に達すると推定された。

2020年に制定された沖合海底自然環境保全地域のうち、西マリアナ海嶺・中マリアナ海嶺北部海域には多数の海山が存在し、多様な海洋生物が集まる重要な生態系の拠点となっている。特に、ツノサンゴ類を含む大型の刺胞動物は、生物多様性の高いベントス(底生生物)群集の基盤を形成し、深海の「海洋動物の森」として知られる。

これらの生物の多様性は十分に把握されておらず、保護は不十分で、一層の研究と保全が求められてきた。今回の発見は海洋保護区の適切な管理や違法漁業からの保護に向けた対策を強化する重要な契機になる。

日刊工業新聞 2024年11月7日

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