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太陽光パネル大量廃棄に備える。経産省・環境省、全事業者の情報把握へ

太陽光パネル大量廃棄に備える。経産省・環境省、全事業者の情報把握へ

一般的なシリコン系太陽電池の耐用年数は20-30年ほど。今後、太陽光発電設備の廃棄増加が見込まれる(イメージ)

経済産業省と環境省は、国内の太陽光発電設備の情報収集強化に向けた新たな仕組みを検討する。再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)や市場価格連動型制度(FIP)を利用しない設備でも、設置条件や休廃止を含む事業計画や、使用する太陽電池などの情報を把握できるように整備する。役目を終えた太陽発電設備の解体や撤去などの費用確保やリサイクルの促進につなげる。

現在、FIT・FIPの適用設備には「再エネ特措法」によって設置者や設置場所、出力に加え、運転開始・設備廃止予定、太陽電池の製品情報など必要な情報を記載した発電事業計画の提出が必要になる。また、両制度を利用する事業用の出力10キロワット以上の発電事業者は廃棄費用の積み立てを求められているが、未適用の設備には費用の確保策が定められていない。

政府は非FIT・FIPを含む全設備を対象とする太陽光パネルのリサイクル義務化を検討しており、制度化に向けてこうした設備の情報把握を強める。また、情報把握を強化し、非FIT・FIP設備を所有する発電事業者からも廃棄費用などを回収できる仕組みの検討につなげる。

政府は太陽光パネルのリサイクル制度を確立し、2025年の通常国会への関連法案の提出を目指している。太陽光パネルの廃棄量は30年代半ばから増加し、40年代前半に最大50万トン規模まで達する見通しだ。廃棄や再資源化にかかる費用負担のあり方や、それらを確実に徴収するための仕組みの検討を急ぐ。

日刊工業新聞 2024年11月6日

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