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陸上で最大規模60万kWへ…福島・浜通り、風力基地拡大

陸上で最大規模60万kWへ…福島・浜通り、風力基地拡大

川内村の鬼太郎山で建設中の風力発電所

福島県浜通り地域の阿武隈高原で、風力発電の建設が佳境に入っている。福島県で2023年度に導入された再生可能エネルギー396万キロワットのうち、風力発電は約24万キロワットだが、いわき市から南相馬市に至る高原で大型ウインドファームが建設され、大きく規模を伸ばす見通し。各プロジェクトが実現すれば合計約60万キロワットと日本有数の規模となる。(いわき・駒橋徐)

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JR東日本エネルギー開発(東京都千代田区)は、福島県川内村と同いわき市に発電出力4万キロワット級と同6万キロワット級の風力発電施設を25年に完成予定だ。同社が川内村などと共同出資で設立した川内復興エナジーは、同村の鬼太郎山に風力発電所を建設中で、同4300キロワット風車(独シーメンス製)を7号機まで設置した。村内の工業団地に管理棟を置き、風車の監視やメンテナンス業務を行う。

JR東日本エネルギー開発はいわき市の神楽山でも同約7万キロワットの風力発電所を25年秋に稼働する予定。同じく、いわき三和風力発電についても同3万4000キロワットの風力発電開発でいわき市と協定を結んだ。

福島復興風力(福島県田村市)が建設する阿武隈風力発電は田村市、大熊町、浪江町、葛尾村にまたがり、合計発電出力14万7000キロワットと国内最大規模で25年5月に稼働する計画。3200キロワット風車46基を17キロメートルに渡って設置する工事がピークを迎えている。全国に17基ある1200トンクレーンのうち5基が建設工事に関わる規模だ。

総事業費は600億円。完成済みの交流棟を備えた管理事務所は、太陽光発電、蓄電池、ビークル・ツー・エックス(V2X)システムを導入したネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)だ。

同事業を含めた9自治体にまたがるエリアの風力発電事業は、25年までに8事業合計で出力約36万キロワットの設備が完成する。発電した電力は東京電力ホールディングス(HD)や福島県のエネルギー企業などが出資する福島送電(福島市)が、福島県と東電HDが共同で設置している共用送電線につないで関東エリアに供給する。

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日刊工業新聞 2024年9月25日

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