自動車開発の効率上げる。エイヴィエルジャパン、最新版ソフトウエアの中身
エイヴィエルジャパン(AVLジャパン、川崎市中原区、米玉利貞幸社長)は22日、粒子法理論に基づく流体シミュレーションソフトウエアの最新版「PreonLab(プレオンラボ)6・2」を10月下旬に提供開始すると発表した。雨・雪などの気象や冠水路での車両環境試験を仮想空間で行える。最新版では冠水路走行時の車両姿勢を高精度に再現する機能や、外部からの力に応じた部品の構造変形を解析する機能などを追加した。気象変化など多様なシナリオに対応し車両開発を支援する。
車両環境試験では雨や雪などの自然環境の再現性のほか、多大なコストや時間がかかるといった課題がある。米玉利社長は「ユニークな部分を多く持つシミュレーションを提供することで自動車開発の効率を上げていきたい」としている。
冠水路走行では水の力を受けると車両姿勢が変わる。新機能では、その際にサスペンションがどの程度伸縮するかの変化を示す。車両の慣性や沈みなどを考慮し車両姿勢の再現精度を高めた。
流体衝突など外部からの力による構造弾性変形を解析する機能はベータ版として追加した。ゴムなどの部品が外部からの力を受けて刻々と変形する現象を再現。実際にどの程度の負荷がかかり変形するのかを示す。走行時の水撃などによる部品信頼性の評価が可能になる。プレオンラボの中で構造変形まで考慮することで、構造解析ソフトの導入コストや工数削減につながる。
AVLジャパンはオーストリアのAVLリストの日本法人。プレオンラボはAVLリスト傘下のスタートアップが開発し、世界で100社以上、日本では9社が使用している。
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日刊工業新聞 2024年10月23日