棚にクレーン、フォーク削減…オカムラが新物流システム、パレット出入庫自動化
オカムラは物流現場でのパレットの出入庫作業を自動化するシステムを発売した。スタッカークレーンと組み合わせることで、従来はフォークリフトを使っていた作業を省人化でき、荷物の取り違えや落下などの人的ミス削減が見込める。人手不足などを背景に、自動倉庫などの物流システム機器の需要は高水準で推移している。オカムラは新製品を製造業や流通業などさまざまな業界に販売し、物流作業の自動化ニーズに対応する考えだ。
オカムラはパレットを高密度で保管するシステム「サイビスター」を2015年に発売した。搬送台車(シャトル)がパレットラック内を前後に走行する構造で、ラック間に設けるフォークリフト用の通路が不要となるのが特徴だ。ラック内のパレット同士の衝突や荷崩れを防ぎ、作業効率を高めることができる。
新製品は自動倉庫タイプとして発売した。搬送台車とスタッカークレーンを組み合わせ、収納可能な高さは従来の2倍近い6―7メートルになる。フォークリフトが届かない高所にもパレットを格納できるようにした。24時間稼働することができ、製造ラインとの直結もできる。コンベヤーや無人搬送車(AGV)と組み合わせることで、前後の搬送工程も含めて自動化可能だ。
同社はパレット品を搬送する自律移動ロボット「ORV1000」の開発も進めており、24年内の発売を目指す。22年に投入したカゴ車搬送タイプの「ORV」に続く第2弾の自律移動ロボットとなる。自らルートを作成してガイドなしで走行でき、生産性向上と省力化に貢献する。
オカムラは26年3月期までの中期経営計画で物流システム事業を「事業規模を拡大する事業」に位置付ける。24年3月期連結売上高において同事業の割合は6%にとどまる。ただ同事業の売上高は前年比35・0%増の184億円と過去最高を更新。営業損益は9億円の黒字(前期は12億円の赤字)となり、堅調だった。
26年3月期には同事業の売上高を24年3月期比9%増となる200億円に伸ばす計画だ。物流システム事業本部の町田憲治マーケティング部長は「ソフトウエアを顧客の運用に合わせてカスタマイズし、注文データに応じて倉庫を動かす。ハードからソフトまで全体最適で完結する」ことで差別化を図る方針を示す。
日本ロジスティクスシステム協会などが国内主要メーカーを対象に実施した調査によると、23年度の物流システム機器の売上高は22年度比3・1%増、過去最高水準の6330億円に達した。トラック運転手の時間外労働が制限される「物流の24年問題」や人手不足を背景に、物流システム関連需要は今後も拡大しそうだ。