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トヨタ生産方式導入…住友金属鉱山が車載電池正極材で新工場、月産7000トンに

トヨタ生産方式導入…住友金属鉱山が車載電池正極材で新工場、月産7000トンに

新居浜工場

住友金属鉱山は建設中の車載用二次電池向け正極材の新工場で、試作品の製造用に1ラインを稼働した。磯浦工場(愛媛県新居浜市)近隣の遊休地に設けるニッケル系正極材の新工場は製造プロセスの自動化を図った拠点で、設備の大部分が完成している。顧客へのサンプル提供・評価段階へと進めることで生産設備を整え、認定の取得を経て2024年度内の商業生産開始を予定する。

新工場はトヨタ生産方式(TPS)の導入に加えて、製造プロセスの自動化を進めることで生産効率の向上を目指す。住友金属鉱山は20年頃からTPSを取り入れているが、工場の建設段階からTPSの考え方を導入したのは今回が初めて。中間在庫の滞留を減らし、モノの流れを効率化。新工場の稼働により、車載用正極材の生産能力を現状の月産約5000トンから同7000トンに引き上げる。27年度には、同1万トンに増加させる計画だ。

正極材の製造プロセスについても見直しを実行。原材料であるニッケルやリチウムなどの混合から焼成、最終的な梱包まで一連の工程を自動化し、ほぼ人が介在せずに完結できるようにした。従来の製造プロセスでは幾つかの工程間で人手による移動が必要だったが、製造プロセスを設計し直すことで生産効率の向上につなげる。

今後は生産設備の最適なレイアウトや設置スペースを模索しながら、他拠点の自動化を視野に入れる。新工場で培ったノウハウを生かし、自動化プロセスの構築に磨きをかける。

日刊工業新聞 2024年10月17日

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