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UACJ・JX金属…非鉄大手の最優先事項、熱中症対策にウェアラブル端末生かす

気温・活動量モニター、健康・安全守る

非鉄大手が労働現場での熱中症対策を積極的に進めている。ウエアラブルセンサーの導入や見える化といった対策により、作業者の健康状態を把握し、迅速に対応できる体制を整える。気象庁によると、2024年7月の日本の月平均気温は1898年以降で最も高かった。特に製錬作業では高温の製品を取り扱うことが多く、猛暑が続く中で作業者の健康と安全を守ることは各社にとって最優先事項だ。(岡紗由美)

UACJは各職場に適した暑さ対策を展開している。従来のファン付き作業服の貸与や塩あめの配布に加えて、名古屋製造所(名古屋市港区)などでは、深部体温を測定できる腕時計型のウエアラブル端末を導入した。深部体温の上昇を光や音、振動で通知することで塩分・水分補給や休息を促す。深谷製造所(埼玉県深谷市)やグループ会社ではヘルメット装着型のセンサーの導入を進めている。WBGT値(暑さ指数)を測定し、基準値を超えた場合には自動でアラートを発信し、上司に通知が届く仕組みだ。 

JX金属も各事業所で熱中症対策を積極的に進めている。車載用電池リサイクルの実証試験を行っているJX金属サーキュラーソリューションズ敦賀(福井県敦賀市)では作業者のヘルメットに転倒などの異常通報だけでなく、体温や脈拍値、活動量などを測る「作業者安全モニタリングシステム」を導入している。熱中症への警戒を作業者や現場監督者に通知するなど、安全第一の作業環境づくりにIoT(モノのインターネット)を活用している。

同社は工場の敷地が広い一方で作業者が少なく、1人での作業が多い特徴がある。中川直総務部長は「作業者の体調についてアラートが上がると、すぐに現場監督者から水分補給や休みを取るように指示ができるようになった。作業者からも『熱中症のリスクに早めに気付けてよかった』といった声が上がっている」と話す。

JX金属製錬(東京都港区)の佐賀関製錬所(大分市)では職場の気温や湿度について、オペレーター室でも把握できるシステムを導入した。上野裕和総務部総務課長は「熱中症対策を含め、安全第一で作業ができる環境になるよう取り組んでいる」と説明する。

住友金属鉱山は22年度の実績で各事業所の熱中症発生がゼロだった。暑さを把握する定量的な数値に基づいて水分補給や体調確認を厳格に実施することで、熱中症の防止を図った。

24年度の行動計画ではさらに進んだ対策として熱中症予防センサーの活用を推進している。一部の事業所でウエアラブル端末を使い、体温・脈拍など体調の把握につながる情報を即時に確認するなどの対策を実施している。今後、運用の実効性を高めることや先行して実施している事業所以外への展開などを検討する。

日刊工業新聞 2024年08月20日

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