車電動化需要で「銅」増産…非鉄大手8社、下期地金生産計画の全容
非鉄大手8社の2024年度下期(24年10月―25年3月)の地金生産計画がまとまり、銅は6社合計の生産計画が77万8678トンと前年同期比5・5%増で、増産の見通しとなった。23年度に定期修繕を実施した製錬所における反動増の影響を受けて、6社のうち3社が増産を見込む。脱炭素社会に向けた自動車の電動化などを背景に銅の需要増加が見込まれる中、各社は安定操業に努め供給を維持する。(岡紗由美)
銅の増産を予定するのは、パンパシフィック・カッパー(PPC、東京都港区)、住友金属鉱山、DOWAホールディングス(HD)の3社。PPCは23年度に日立事業所(茨城県日立市)で計画工事を行い生産が縮小した反動で、同4・4%増の30万3700トンを計画。住友金属鉱山は定期補修の谷間の年で、同21・4%増の22万7000トンを計画する。
一方、三菱マテリアルは19万6578トンと前年同期比5・7%減となる見通し。直島製錬所(香川県直島町)は24年度下期に定期炉修を予定しており、約16%減る。古河機械金属と日鉄鉱業は微減を計画する。
24年度下期の伸銅品需要については、下期は自動車の減産影響は解消に向かうが、デジタル機器や半導体需要の回復が遅れると見る。半導体需要の回復は夏場以降と予測していたが、年明けに伸びる見通し。今後も安定的な供給体制が必要となりそうだ。
亜鉛3社は三井金属とDOWAHDが増加、東邦亜鉛が減少する。DOWAHDは子会社が国内最大の亜鉛製錬所を持つ秋田製錬(秋田市)を完全子会社化したことを材料に、同16・3%の増産を見込む。
金、銀は金が10%増の48トン、銀が5・2%減の695・6トンとなった。三菱マテリアルは金、銀の生産増減について、原料受け入れ量の増減によるものとする。PPCは金は原料品位差により減少する。銀は「23年度に製造工程で定修を実施した際に未処理だった原料があったため、反動で増加する」とした。