時速12.6km…THKが開発、世界最速で走る「ヒューマノイド」の実力
THKは、世界最速で走るヒューマノイドを開発した。時速は12・6キロメートルと自転車の走行速度に相当する。ヒューマノイドは研究用機体で事業化などは未定。機体を構成したアクチュエーターの技術提案や優秀な人材獲得につなげる。
脚に八つのリンクを組み合わせた機構を採用した。脚の前後方向の力と上下方向の力を独立して制御できる。上下方向の力を吸収するアクチュエーターと、前に脚を進めるアクチュエーターを分担し、足先が直線的な軌道を描く。
両手両足のあるヒューマノイドでは最速となった。身長120センチメートル、体重35・6キログラム。機体は2022年に組み上げていたが、走行の制御アルゴリズムなどを開発して最速となった。これまでは中国の研究チームの時速11・3キロメートルが最速だった。
ただ走行環境は平面の床を想定している。不整地や乱雑な環境の走行には技術課題があり、走行中の高速環境認識や衝撃制御などの統合が必要になる。ヒューマノイドは高度な技術が求められ、ロボット研究の最高峰の一つとなってきた。複雑なシステムを構築する際に、単純で強力な機構部品はシステム設計の幅を広げる。
THKは機構部品やアクチュエーターだけでなく、ロボットのシステムインテグレーション事業を抱える。ロボット技術や研究環境を提示して優秀な人材を呼び込んでいく。
日刊工業新聞 2024年9月11日