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クボタが産業用エンジン増産、タイで新ライン全面稼働へ

クボタが産業用エンジン増産、タイで新ライン全面稼働へ

クボタの主力機種03シリーズで排気量1・5-2・4リッターエンジン

クボタはタイで産業用ディーゼルエンジンの年産能力を現在の12万台から16万台に増強する。既存の工場に組み立てや機械加工のラインを増設中で、2026年に全面稼働する。投資額は数十億円とみられる。タイで生産する25-74馬力のエンジンは自社製の農業機械や建設機械に搭載する主力機種で、外部にも幅広い産業用途で販売している。旺盛な海外需要に対応する。

増強するのは、11年に設立したエンジン生産会社「クボタエンジンタイランド」(チャチェンサオ県)。建屋面積は約3万5000平方メートル。現在、既存建屋の空きスペースに組み立てラインや、エンジン部品の機械加工用の設備を増設している。

工場は排気量1・5-2・4リッターの主力機種のエンジンを生産する。クボタ製のトラクターやミニバックホーなどの建設機械に搭載するほか、外販も行う。

筑波工場(茨城県つくばみらい市)と同じ機種を生産できる体制を整えており、「日本とタイの両方から購入できるのは顧客にとってリスクヘッジになり、多拠点化を進めている」(種田敏行クボタエグゼクティブオフィサー)という。筑波工場と合わせて生産能力の余力を高める。

日本陸用内燃機関協会によると、日本メーカーの産業用ディーゼルエンジンの24年度国内外生産台数は4年ぶりに200万台を下回る見通し。だが直近10年以上は150万-200万台を維持する。

クボタは100馬力以下の産業用エンジンで世界トップシェアを持ち、販売の約6割を外販が占める。カーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)の流れにあっても「ディーゼルの需要はまだまだ続くとみており、燃費性能を高めながら、電子制御のエンジンやハイブリッド、水素などと両輪で開発していく」(同)とする。

農機や建機など産業機械は海外向けを中心に伸びており、関連するエンジン需要も拡大している。クボタはエンジン全体の生産拡大に向け、堺製造所(臨海工場〈堺市西区〉)に280億円、恩加島事業センター(大阪市大正区)に186億円を投じ、生産や研究開発を強化している。

日刊工業新聞 2024年9月4日

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