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低価格トラクターの生産倍増、クボタが新工場

インドで用地取得、欧向け供給拡大・北米展開
低価格トラクターの生産倍増、クボタが新工場

エスコーツクボタが主力とするベーシックトラクター

クボタは2030年に、インド子会社のエスコーツクボタ(ハリヤナ州)が強みとする安価なベーシックトラクターの生産を現状比倍増の約26万台に増やす。インド北西部のラジャスタン州で既に工場用地を取得しており、トラクターとエンジンの新工場を建設し、28年までに稼働する予定。加えてインドと日本の開発人員の交流を強化し、クボタの製造ノウハウや品質管理を取り入れた新製品を開発するなど、製品ラインアップも拡充する。

クボタはベーシックトラクターを核に、30年にインドの国内シェアを現状の2倍、売上高3000億円を目指している。現在、同社グループとしてインドに3カ所の製造拠点を持つが、生産能力が不足している。

そのため23年にエスコーツクボタを通じて、約100万平方メートルの土地を約72億円で購入した。北尾裕一社長は「詳細は今後詰める。22年に買収したエスコーツとの連携は、これから本格的に取り組んでいきたい」と説明する。

さらにインドを起点に、ベーシックトラクターの世界各国への供給にも力を入れる。既に供給している欧州やアフリカ、アジア向けを拡大するとともに、新たに北米への展開も視野に入れる。

北米市場で存在感を増しつつある「韓国、中国の低価格トラクターへの対抗機種として投入する」(北尾社長)狙い。欧州の兼業農家の需要なども取り込む。将来的に、インドからの輸出台数を年6000台から数倍に拡大する。

インタビュー/グローバル経営体制を構築

クボタの北尾裕一社長に今後の戦略を聞いた。(大阪・池知恵)

社長・北尾裕一氏

―2023年12月期は初めて売上高3兆円を突破しました。

「3兆円は一つのエポックではあるが、為替が円安に振れたことや材料費の高騰に伴う値上げの影響が大きい。それらを差し引くと大きく成長したとは言えず、これから本当の意味での3兆円を目指す。24年はグローバルな経営体制の構築、開発の効率化、サプライチェーン(供給網)の強靱化、人材投資に力を入れる。競争スピードを上げてライバルに打ち勝つ年にしたい。30年に向けて売上高4、5兆円を目指したい」

―次世代技術である農業機械、建設機械の自動化、電動化の開発動向は。

「農機の自動運転では米エヌビディアの画像処理技術を活用し、人、鳥などを区別して停止するなどほ場内での安全は確立された。溝があるあぜ周辺や、ほ場への乗り降り、道路上で農機が車に反応してとっさに停止するなどの技術開発が今後のカギとなる」

「電動化は充電場所や電池容量が課題だ。今のバッテリー性能はもって2-3時間。だからプロ農家向けの高馬力帯トラクターは電動化以外の選択肢もある。水素や燃料電池車(FCV)、合成燃料も含め検討していく必要がある」

―物流業界の「2024年問題」への対応は。

「従来は(製品や部品など)当日配送の受付を正午まで受け付けていたが、4月からは前日に締め切り、翌日の配送計画を立てることでドライバーの負担を軽減する。トラックの入出庫管理を行い、荷待ち時間を短縮する新システムも導入した。特に工事の進捗(しんちょく)によって配送計画が立てにくい鉄管やバルブなどで、運送会社にしわ寄せが行っていた課題などの改善につなげる」

日刊工業新聞 2024年3月5日

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