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柱・プラスチック・石がタッチパネルになる。JDIの独自技術が面白い

柱・プラスチック・石がタッチパネルになる。JDIの独自技術が面白い

観葉植物の鉢にセンサーを貼り、葉に触れると音声を流すなどの使い道も

植物やプラスチック、大理石などさまざまな素材をタッチパネルにすることができる独自技術をジャパンディスプレイ(JDI)が開発し、話題を呼んでいる。展示会に出展したところ、発想の意外さと応用の広さからすでに引き合いが多く来ているという。JDIでは玩具やゲーム、健康器具などでの実用化を想定しており、企業との協業を進めていく方針だ。(編集委員・小川淳)

開発した技術「ZINNSIA(ジンシア)」は、JDI独自のディスプレー技術とセンサー技術を応用した。フレキシブルプリント回路基板(FPC)に回路を印刷したもので、スマートフォンのタッチパネルと同じ静電容量方式で動作する。

木材など絶縁体なら素材の裏に貼るだけで全般的に使用できる。木材の場合、厚さ10センチメートルまで存在検出、厚さ5センチメートルまで座標検出をそれぞれ可能。これまでセンサーとしての応用が難しかった素材でも活用できる上、折り曲げも可能なため、デザイン性や用途が大きく広がる。

開発を指揮したSプロジェクト準備課プロジェクト責任者の吉田公二氏は「もともと高感度のセンサーがあり、それの使い道に悩んでいた時、いろいろ機器を触って実際にやってみたら、今までにない体験だった。これはいけると思い、プロジェクト化を申し込んだ」と振り返る。

6月の展示会に出展したところ、ユニークさと応用の容易さなどから話題を呼び「引き合いが急に増えて驚いている」と吉田氏。デモ用としては、観葉植物の葉の裏にセンサーを貼り付け、葉に触れるとセンサーが検知し、あらかじめ設定しておいた音声などが流れる仕組みなどを提案している。

さらに木や大理石などを自由にスイッチとしてデザインできる照明のほか、内田洋行とは子ども向けの教材として、リンゴや飛行機といったイラストを触ると英語の音声が流れたり、トロンボーンなどの楽器のイラストを触ると音が奏でられたりするなどの製品を開発している。

木製スピーカーにセンサーを設置することで、触る場所によって異なる音楽を発する

また、フォスター電機とは木製のスピーカーを開発しており、触る場所によって違う音楽や環境音を出すなど、意外性とデザイン性を両立している。

吉田氏は「JDIの中ではこういった製品を企画できる人がいない。最初にそういう人たちを見つけるのが大事と探しだし、引き受けてもらった。その力は非常に大きかった」と指摘する。

このほか、ゲーム用途としてバランスボードへの応用やぬいぐるみロボットなども想定する。ロボットに装着すれば、より高感度の手触りの識別ができることから、人との豊富なコミュニケーションの広がりも期待できる。

JDIではサンプル提供や国内外の展示会での出展などを通して知名度を高めて、実用化を模索していく。

日刊工業新聞 2024年8月28日

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