ニュースイッチ

"虎の子”で経営再建へ、JDIが中国に次世代有機ELの新工場

"虎の子”で経営再建へ、JDIが中国に次世代有機ELの新工場

オンライン会見するキャロン会長兼CEO

ジャパンディスプレイ(JDI)は、開発した輝度・寿命を大幅に高める次世代有機EL技術「eLEAP」の量産化をめぐり、交渉していた中国パネル大手の恵科電子(HKC)との提携を打ち切り、基本合意書(MOU)の解除を決めた。一方で新たに中国安徽省蕪湖市の「蕪湖経済技術開発区」とMOUを締結し、2025年11月以降に現地で工場を稼働させる計画を公表した。JDIにとって“虎の子”であるeLEAPを早期に事業化し、経営再建を目指す。

HKCとは4月にMOUを締結し、9月末の最終合意を目指したが、条件が折り合わなかった。車載ディスプレー向けについては引き続き協業する。

新たにMOUを結んだ同区とは年内の最終合意を目指している。スコット・キャロン会長兼最高経営責任者(CEO)はオンライン会見で「非常に強い事業会社や投資家と事業を立ち上げることにした」と説明した。

計画では25年11月に第6世代(G6)、26年12月に第8・7世代(G8・7)の工場をそれぞれ立ち上げ、ディスプレーを量産する。eLEAPはG6の茂原工場(千葉県茂原市)で24年から量産を開始するが、少量にとどまる。中国工場の稼働で生産能力が50倍に高まるという。ウエアラブル端末やIT系、モニター、テレビ向けに中国だけでなく、世界で幅広く展開する。

最終合意後、事業会社を立ち上げる。総投資額や事業会社への出資比率などは現時点で非開示としている。


【関連記事】 半導体パッケージ基板で存在感を増す印刷会社
日刊工業新聞 2023年10月02日

編集部のおすすめ