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「半固体電池」向け電極部材、日本ガイシが山梨に集約

「半固体電池」向け電極部材、日本ガイシが山梨に集約

エナセラの電極部材の生産をNGKセラミックデバイス都留工場に集約

日本ガイシは超小型・薄型リチウムイオン二次電池(LiB)「エナセラ」の電極部材の生産工程を、電池を組み立てるNGKセラミックデバイス(愛知県小牧市)都留工場(山梨県都留市)に数年内に集約する。現在、正極板などのセラミックス製部材は名古屋市熱田区の拠点で生産している。都留工場では電子機器向けセラミックス製品を製造しており、大型の設備投資や人員の追加は不要とみられる。コストの削減や製造期間の短縮につなげる。

エナセラはセラミックス製の積層電池部材に微量の電解液を染み込ませた半固体電池。日本ガイシが独自の焼結技術を用いて開発した、結晶の向きを緻密に制御できる「結晶配向セラミックス正極板」により活物質内をリチウムイオンが高速移動できる。これにより、低抵抗で高いエネルギー密度を有する。

生産工程の集約先となる都留工場は、名古屋市内で製造した電極材料を活用して電池を組み立て、検査している。まずはエナセラのコイン形製品から2024年度中をめどに移管し、その後パウチタイプにも対応する方針。足元では、都留工場での生産に向けて技術開発を進めている。

一方、現在、正極部材を生産する名古屋市熱田区の拠点は日本ガイシの研究開発機能を有する。このため、電極部材の生産工程を都留工場に移管することで空くスペースは他の製品の研究開発に活用する見通し。

日本ガイシは国内外の計500社を超える企業にエナセラのサンプル出荷や販売を行う。顧客からの引き合いが高まる中、さらなるコストの削減や生産体制の効率化が求められていた。

日刊工業新聞 2024年7月18日

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