建設資材の自動運搬システム実用化へ、竹中工務店がドローンと搬送車両で開発
竹中工務店は自律走行の搬送車両と自律飛行の飛行ロボット(ドローン)を組み合わせ、建設資材を自動で運搬するシステムを開発した。資材を保持したドローンを車両に載せて建設現場まで運び、現場ではドローンによって作業員の手元に届ける。12月に2025年大阪・関西万博の会場で実証実験を行う計画。建設現場の「2024年問題」に対応し、生産性向上や省人化を図れる搬送手法として早期の実用化を目指す。
自律走行車両に関してはアダワープジャパン(東京都台東区)、ドローンについてはセンシンロボティクス(同品川区)の技術をそれぞれ活用。共同で実験を行った。
まず都市の景観を3次元(3D)モデル化した仮想空間を作り、その空間において高性能センサー「LiDAR(ライダー)」を搭載した車両を走行させて点群マップを作成。このマップを使って現実空間を自律走行させる。大阪市などで実験したところ、正確に位置を把握しながら走行できることを確認した。
一方、ドローンには全地球測位システム(GPS)とライダー、カメラの画像から移動量を算出するシステム「VIO」を搭載。GPSの受信状況が悪い場所では3D都市モデルから作成した点群マップとライダーを、ライダーの測位精度が低下する場所ではVIOを活用し飛行する。高層ビルが多い地域で実験を行い、設定したルートに沿って正確かつ安全に建物の屋内外を自律飛行できた。
建設業界では人手不足や時間外労働の上限規制に伴い、生産性向上の重要性が一段と高まっている。今後、竹中工務店は自社の施工現場でも検証を行う計画。実験を通じて人を介さずに資材を搬送できる自動運搬システムの有用性を実証し、現場での活用を進めていく。
日刊工業新聞 2024年7月11日