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AI活用手軽に、「クローム」パソコン活況の理由

AI活用手軽に、「クローム」パソコン活況の理由

若年層から高齢者まで幅広い世代から注目されているという

パソコンメーカー各社は米グーグルの基本ソフト(OS)「クロームOS」を搭載したパソコン(PC)「クロームブックプラス」を相次ぎ投入している。従来のクロームブックと比べ処理速度を2倍に高めたほか、人工知能(AI)を用いて画像の不要な部分を消せたり、画像を生成したりできるのが特徴。低価格で性能を高めたクロームブックプラスは、法人を含む幅広い顧客のAI活用を後押ししそうだ。(阿部未沙子)

ヨドバシカメラ新宿西口本店(東京都新宿区)のマルチメディア館(同)では、米マイクロソフトのAIPC「コパイロット+PC」が前面に並び、クロームブックプラスは一角にある。ただ、クロームブックプラスの存在感は高まりつつあるようだ。

ヨドバシカメラパソコン専門チームの鹿野良太氏は「PCを初めて使う人にとって、クロームブックプラスは安くて安全に使える機種として響きやすい。仕事では2台目として求める人がいる」と話す。

日本のAIパソコン法人市場規模予測

MM総研(東京都港区)がまとめたAIPCの国内法人市場予測によると今後5年間でAIPCは急速に普及するとされ、2028年度には法人向けの年間出荷台数の3分の2に当たる525万台規模まで拡大する見通しとした。

背景についてMM総研の中村成希取締役研究部長は「25年度に(ウインドウズ10のサポート終了に伴う)大幅な入れ替えが起きた後、AIPCに移行するのではないか」と話す。AIPCを代表するのがコパイロット+PC。ただ、価格は高めだ。MM総研によると23年度のPCの出荷平均単価は11万5026円。対して、例えば日本マイクロソフト(東京都港区)のコパイロット+PC「サーフェス プロ(第11世代)」は消費税込みで20万7680円から。

こうした中、コパイロット+PCと比べて安価な「クロームブックプラス」の人気が高まっている。例えばエイスース ジャパン(東京都千代田区)の「ASUS クロームブック プラス CM34 フリップ」は消費税込みで7万9800円から展開する。

大学生や会社員らの購入を想定しており「AIを積極的に活用したい人などに使ってほしい」(エイスース ジャパン)という。日本エイサー(東京都新宿区)も同社として初めてのクロームブックプラスを6月末に発売した。

従来、クロームブックは学校に1人1台の端末を配備する「GIGA(ギガ)スクール構想」を背景に教育機関を中心に採用が進んできた。MM総研の中村取締役は「クロームOSはセキュリティー(安全性)の高さが特徴」とし、クロームブックプラスを通じて「企業が(クロームOS)を本格的に使うための最低限のスペックを提案している」とみる。

また中村取締役は、端末側でAIの推論処理が可能かどうかを踏まえ「コパイロット+PCとクロームブックプラスは競合としてはぶつからない」と分析する。AIの活用が低価格帯の機種にも広がることで、誰もがAIを使える環境の整備に寄与しそうだ。

日刊工業新聞 2024年7月4日

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