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コスト3割減…明和eテックが投入へ、自動車産業支援する「搬送ロボット」の実力

コスト3割減…明和eテックが投入へ、自動車産業支援する「搬送ロボット」の実力

コスト競争力を高めた長方形タイプ(左)と、狭い生産現場を想定した正方形タイプ

明和eテック(愛知県豊田市、河原博社長)は、1台当たりのコストを約3割低減した自律移動ロボット(AMR)と、本体を正方形にして狭い生産現場でも活用できるAMRの2種類を開発する。早ければ2024年内に開発に一定のめどを付け、25年にも顧客に試験導入する。生産現場では人手不足対策が喫緊の課題であり、搬送の省力化・自動化に関するニーズは増す。現場の課題を反映したAMRを投入し、主要顧客である自動車産業を支援する。

明和eテックは自動車メーカーや部品メーカーの生産現場の設備制御、システム構築などを手がける。20年ごろから自社開発した4輪式のAMR「me―Rabo(ミラボ)」を展開。自動車関連の生産現場のニーズを取り込み、サイクルタイム(CT)の達成を可能にするメカナムホイールを搭載した全方向移動のAMRを提供している。

開発中のコスト競争力を高めた機種では、AMRの構成部品の見直しや構造の最適化で本体価格の3割減を目指す。4輪式のミラボは一般的な2輪式と比べて走行性能や安定性は高いが、高コストな点が課題だった。

一方、一般的なAMRは本体と別に管理サーバーや充電ステーションなどの付帯設備が必要だが、ミラボはサーバーを内蔵している上、ワイヤレス給電を採用しており、これらの設備が不要になる利点がある。付帯設備を含むAMRのシステムとしての導入コストで、2輪式と同等を実現する。

同じく開発中の正方形タイプのAMRは、長さ600ミリ×幅600ミリメートルのサイズを想定している。縦移動から横移動に切り替える場合でも、AMR本体が回転する必要がなく、通路幅の変更も不要。正方形にすることで、全方向移動の利点をさらに生かしやすくする。

7月4―6日に愛知県国際展示場(愛知県常滑市)で開かれる産業用ロボットと自動化システムの専門展「ロボットテクノロジージャパン2024」に開発中の機種を出展し、市場ニーズを探る。顧客に最適なAMRを提案し、年間売上高を数年以内に現状比2倍の30億円に引き上げる。


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日刊工業新聞 2023年6月27日

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