強度は回収時の3.7倍…三菱電機、製品外装に再生樹脂
三菱電機は廃家電から再生した樹脂を自社製品の外装に初めて採用した。廃家電に含まれるポリカーボネート系アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(PC/ABS)をリサイクルし、光回線終端装置(ONU)の筐体(きょうたい)に取り入れた。事業者向けに近く発売する。再生樹脂は異物混入や外観不良が起きやすいため、活用が進む電機業界でも外装に用いることは珍しい。
回収したPC/ABSに添加剤を加え、耐久性や難燃性を確保した再生樹脂をONU筐体の70%に使用した。この再生樹脂は複数回成形しても外観不良が生じにくかったという。三菱電機はこれまでに、ガス検針システムなどに使うセンサー用無線通信端末の内部部品に再生樹脂を採用した実績がある。
再生樹脂の製造にあたり、複数種類の樹脂からPC/ABSのみを選別して回収する仕組みを構築。異なる樹脂の混入率を0・5%未満に抑えた。添加剤の使用により、想定環境における耐久性を回収時のPC/ABSの3・7倍に高めた。
回収や添加剤の付加に手間がかかるため、新品の素材を使うより製品価格は高くなる。ただ、三菱電機はグループ内で廃家電の分解やリサイクルを手がけており、値上がり幅を抑えられたという。
家電リサイクル法で集められた廃家電からは、ポリプロピレン(PP)やポリスチレン(PS)などの樹脂を回収し、リサイクルすることが一般的だ。ただ、再生樹脂は新品の樹脂より強度が落ちやすく、低品質の製品に使うことが多かった。
電機業界では再生樹脂の活用が広がる。パナソニックホールディングス(HD)は、廃家電由来の再生樹脂にセルロースファイバーを加えて耐久性を高める研究開発を進めており、家電などへの採用を検討している。
【関連記事】「日本の総合電機は日立と三菱電機の2社になる」
日刊工業新聞 2024年6月27日