物流成長の引き金に…セイノーが三菱電ロジ買収へ、狙う相乗効果
セイノーホールディングス(HD)は19日、三菱電機ロジスティクス(東京都中野区)の子会社化について説明会を開き、課題に掲げるロジスティクス事業の成長の引き金になると強調した。従来から連携による物流全体の効率化を唱える田口義隆社長は「課題解決のインフラづくりができる」と述べた。(編集委員・村国哲也)
セイノーHDは混載便を拠点間で定期運行する「特積み」を得意とする。輸送事業の2024年3月期の売上高は4702億円。運び手と荷主のマッチングサービス子会社ハコベル(東京都中央区)で「貸切」領域も強化中だ。しかし物流3領域の残る一つのロジスティクスは同630億円に留まっていた。
ここに三菱電ロジの同1062億円が乗る。29年3月期に1200億円としていたロジスティクス事業の中期売り上げ目標をすでに超え、さらに成長を目指す。まず三菱電ロジの現在の親会社で売上高の9割を占める三菱電機へのサービスを拡大し、インドなどの海外展開にも貢献する考えだ。
さらに空調機器や発電機から半導体までの幅広いエレクトロニクス関連物流のノウハウを生かし新規顧客も開拓する。三菱電ロジをエレ関連物流の中核に据える。
ロジスティクス強化では、市場拡大が見込めるエレ、車載バッテリー、ヘルスケアに重点を置く。これらは同業他社も狙う分野だが、セイノーHDのエレ関連物流の売上高はまだ同240億円。しかも輸送の仕事が大半でサービス拡充の余地は大きいとみる。田口社長は手つかずの決済や生産管理のサービスにも意欲を見せる。
今後の三菱電ロジとの関係については「機能を自律的に上げてもらう」(田口社長)と、自主性を尊重する方針だ。一方、ビジネスではグループの資産や事業領域を活用した相乗効果も期待する。グループにない機能をM&A(合併・買収)や連携で柔軟に取り入れるセイノーHD。「足し算ではなくかけ算」(田口社長)の成長を目指す。
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