売上高1兆円へ…三菱電機がFA関連攻勢、国内初の曲線リニア搬送機器ショールームに投入
三菱電機は工場自動化(FA)機器や技術導入を支援するショールーム「東日本FAソリューションセンター」(東京都台東区)を起点に、FAシステム事業を拡大する。このほど同センターに国内初となる曲線型リニア搬送システムのデモ機を投入するなど展示品を刷新した。同事業は収益の柱の一つで、2025年度に売上高1兆円(22年度実績は8438億円)の目標を掲げる。今後の成長を占う上でも、常に新しい製品・サービスを提案する場としての同センターの役割が一層重要性を増しそうだ。(高島里沙)
今回の目玉として設置したのが、24年度中に発売予定の曲線型リニア搬送システムだ。高速搬送しながら組み立てが可能で、搬送速度は最大毎秒4メートル。ショールームでは同システムやロボットなどを組み合わせて、リチウムイオン電池(LiB)の組み立て・分解工程を再現する。コンベヤー搬送に変わる次世代搬送システムとして訴求する。
電気自動車(EV)関連のLiB組み立て搬送に加え、レトルトパウチへの食品充填などの需要を想定する。電子・電気から、飲料・食品メーカーなど幅広い業界をターゲットに据える。FAデジタルマーケティングセンタープロモーショングループの安部潤一郎氏は「EV需要は今は減速中だが、今後見込まれる需要を取り込んでいきたい」と意気込む。
他にも産業用ロボット「MELFA」の新機種で、4月発売したばかりの垂直多関節型の可搬質量12キログラムなどを展示。これまで3機種で展開してきた「MELFA CRシリーズ」に、可搬質量が大きい新機種を追加し適用範囲を拡大する。顧客の多様なニーズに応える。
東日本FAソリューションセンターは18年に開設し、22年に全面刷新した。展示内容を最新機器に入れ替えることで新規性を維持し、23年度は約5000人が来場した。1階のショールームの隣にはロボット用のテストエリアも設けており、顧客が工場で扱う部品などを持ち込んで試せる。安部氏は「将来的には国内外の工場とショールームをつなげるなど、FA事業の発信施設として強化していきたい」と一層の機能強化を見据える。
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