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自動車フレーム主力のホンダ系部品メーカー、FCVプレートに20億円

エイチワン、一貫体制を強化
自動車フレーム主力のホンダ系部品メーカー、FCVプレートに20億円

FCV用バイポーラプレート。極めて薄いステンレス材に水素や酸素、冷媒を流すための微細な加工を施している

エイチワン燃料電池車(FCV)用バイポーラプレートの開発・生産に2027年3月期までの3年間で約20億円を投じる。経営資源を優先的に配分し、国内で開発から量産まで一貫体制を強化する。主要取引先のホンダが米国でFCVの生産を開始するなど需要拡大が見込まれている。開発・生産体制を拡充し、バイポーラプレートの売上高を27年3月期に24年3月期比2・5倍に引き上げる。

バイポーラプレートはFCVに搭載される燃料電池の構成部品の一つ。極めて薄いステンレス材に水素や酸素、冷媒を流すための微細な加工を施しているのが特徴で、燃料電池1台当たり数百枚使用されている。日本で量産する企業は少なく付加価値の高い事業だ。製造を手がける前橋工場(前橋市)を中心に生産技術や開発の強化、開発・生産設備の拡充を図る。

カーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向け、二酸化炭素(CO2)排出がゼロの水素へのニーズは高い。エイチワンの調べでは燃料電池の世界市場は22年時点で約4000億円の規模があり、30年には約4兆円に拡大すると予想する。自動車をはじめ、商用車や建設機械、飛行ロボット(ドローン)、定置用電源など多用途で採用を働きかけていく。

エイチワンは自動車フレームが主力。北米など自動車生産が好調な地域で自動車フレームに重点投資する一方、国内は大きな成長が見込めないとみて自動車フレーム以外の新規事業に集中的に投資。多角化を進め、事業構造の転換につなげる。


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日刊工業新聞 2024年6月20日

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