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ホンダが今夏投入、「新型FCV」に搭載した初機能

ホンダが今夏投入、「新型FCV」に搭載した初機能

外部から充電可能なプラグイン機能を備えた新型FCV「CR―V e:FCEV」

ホンダは28日、新型の燃料電池車(FCV)「CR―V e:FCEV」を世界初公開し、2024年夏以降に国内や北米で発売すると発表した。水素充填による航続距離は600キロメートル以上、電気自動車(EV)では同60キロメートル以上。日本車メーカーのFCVで初めて外部から充電可能なプラグイン機能を備え、水素を充填しなくてもEVとして日常利用できる。FCVにEVや非常用電源としての使い勝手を加えることでバッテリーEV(BEV)を上回る価値を訴求し、FCVの「正解」を探る考えだ。(編集委員・錦織承平)

ホンダは28日に東京・有明で開幕した水素・燃料電池関連の展示会で新型FCVの量産モデルを公開。29日に先行予約の受け付けを始める。搭載する燃料電池システムは米ゼネラル・モーターズ(GM)と共同開発し、従来比3分の1以下の低コスト化や同2倍以上の耐久性などを実現。ホンダとGMの合弁会社で量産を始めており、FCVのほかに商用車や建設機械、定置電源などに広く展開し、コスト低減効果を生み出す戦略だ。燃料電池システムを搭載する新型FCVはホンダが米オハイオ州の工場で生産する。

ホンダは02年に「FCX」、08年に「FCXクラリティ」、16年に「クラリティ フューエルセル」といったFCVを発売したが、今回は初めて、使い勝手の良さなどから人気を集めるスポーツ多目的車(SUV)とした。価格は公表していないが、「既存車種であるCR―Vをベースとすることで、開発費や量産コストを抑えられる」(生駒浩一BEV開発センターLPLチーフエンジニア)という。

新開発の小型コネクターを接続することで外部の家電製品などに最大1500ワットのAC電力を供給できる

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二酸化炭素(CO2)排出ゼロというFCVの環境性能に、水素充填インフラの制約を補うプラグイン充電機能や非常用電源の機能も増やした。FCVとしては水素のフル充填を約3分で終えられ、ガソリン車と同等の使い勝手がある。それに加えて、従来のFCVより容量の大きい蓄電池を採用し、EVのみの航続距離は最大60キロメートル以上を確保した。

個人の乗用車の利用傾向では、1回当たり走行距離が10キロメートル以下に収まる場合が約8割を占めるため、平日の日常的な利用にはプラグイン充電機能を使ったEVで対応し、長距離走行時は水素充填によるFCVとして利用することも提案する。

車を電源として使う機能では、左フロントフェンダー部に設けた交流(AC)充給電口に、新開発の小型コネクターを接続することで外部の家電製品などに最大1500ワットのAC電力を供給できる。

日本仕様ではトランク内の直流(DC)給電口に別売の可搬式外部給電機を接続し、高出力の電力供給も可能。非常時の電源としての有用性を訴求し、企業・官公庁・法人向けの営業車や公用車としても提案する。

FCVは水素インフラの整備が進んでいないこともあり、市場拡大は進んでいないのが現状。生駒チーフエンジニアは「いろいろな人に乗ってもらわないとFCVの正解に近づけない」との考え。SUV、EV、非常用電源といったさまざまな使い勝手を加えて、新しい車の価値を探っていく考えだ。

日刊工業新聞 2024年02月29日

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