ニュースイッチ

涙液糖で動く半導体回路…京大が開発、体内IoT機器に応用

涙液糖で動く半導体回路…京大が開発、体内IoT機器に応用

研究開発のイメージ図:提案回路の動作を、カエルの合唱に例えて表現している

京都大学の新津葵一教授らは、涙液に含まれる糖分からのエネルギーで動作する涙液糖駆動が可能な環境適応型電源・デジタル変換半導体集積回路を開発した。さまざまな集積回路への適用を目指すとともに、涙液糖濃度から血糖濃度を推定し、持続的にモニターするコンタクトレンズである「持続血糖モニターコンタクト」やデジタル錠剤、電子デバイスを搭載した「スマートステント」など体内環境で動作するIoT(モノのインターネット)システムの開発への応用も進める。

低電力・低電源電圧動作を達成するため、異なる閾(しきい)値の電源電圧を持つ信号駆動回路(バッファ)を複数搭載し、クロック信号を与えられた際に動作する回路の数が変化することを活用してデジタル変換する。低入力電源電圧の際には少ない数の回路が動作するため、消費電力を低減できる。

このコンセプトを、22ナノメートル(ナノは10億分の1)の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)プロセスで設計、試作した半導体集積回路上に実装し、有効性を実証した。性能を評価したところ、従来技術の27分の1程度の消費電力、電源電圧の44%低減を達成した。

日刊工業新聞 2024年06月18日

編集部のおすすめ