25年間で9割近く減少…公衆電話、年度内10万台割れ
国内にある一般公衆電話の数が2024年度中に10万台を割り込む見通しだ。NTTによると、25年3月末の一般公衆電話は前年同月末比11・2%減の9万7933台になる見込み。00年3月末の約73万台から25年間で9割近く減る。一方、災害発生を受けて避難所に開設する災害時用公衆電話は増えている。携帯電話の普及による利用者離れで一般公衆電話は減るが、災害時用公衆電話回線の整備で緊急時の通信手段を維持する。
25年3月末の一般公衆電話数予想の内訳は、NTT東日本管轄分が前年同月末比11・1%減の4万8249台、NTT西日本が同11・4%減の4万9684台と、両社ともに5万台を割る。
街角や駅などにある緑やグレーの一般公衆電話の通話回数は、電話のユニバーサル(全国一律)サービス制度が始まった02年度に11億8000万回あったが、20年度には約97%減の約3000万回となった。1台当たりの通信回数は20年度に約200回と、02年度の10分の1に減っていた。
このため、総務省は22年4月に電話のユニバーサルサービスとして設置が求められる第一種公衆電話の設置基準を緩和し、最低限設置が必要な台数を従来の約8万台から約3万台に減らした。NTT東西は、31年度までに第一種公衆電話数を3万台に削減する計画。老朽化に伴い、メタル固定電話に必要なメタル設備を縮退する35年度に向け、携帯通信回線などの利用を検討する必要性を示している。
一方で総務省は災害時用公衆電話を電話のユニバーサルサービスに追加した。災害時用公衆電話は事前に電話回線を開通させた上で端末を保管し、災害発生後に避難所の管理者が同回線に端末を接続して利用する事前設置型が主流。避難所を指定する地方自治体からの要望に基づいて設置している。
災害時用公衆電話の23年9月末時点の設置回線数はNTT東西の合計で8万8808回線で、1587自治体に設置される。11年度の9000回線から大幅に増えており、地震やゲリラ豪雨など自然災害が頻発していることが影響しているとみられる。