生産能力1.5倍…マクセルが車載コイン形電池を増産する狙い
兵庫で1.5倍
マクセルはタイヤ空気圧監視システム(TPMS)のセンサー用電源で使う耐熱コイン形二酸化マンガンリチウム電池の増産体制を整えた。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の潮流などを背景としたTPMSへの需要拡大に備える。省電力に対応した耐熱コイン形二酸化マンガンリチウム電池を増産できる体制を構築し、生産能力を従来比約1・5倍に引き上げた。
投資額は約5億円。小野事業所(兵庫県小野市)にある既設のラインを改造した。マクセルは複数の耐熱コイン形リチウム電池をラインアップする。中でも、直径20ミリ×高さ3・2ミリメートルの耐熱コイン形リチウム電池が最小の製品。省電力に対応した小型電池に対する顧客からの需要が強いことから、改造した生産ラインでは比較的小さい電池を重点的に生産する見通し。今後も需要動向に合わせた投資を行う。
マクセルの耐熱コイン形リチウム電池は、耐熱性に優れた材料と独自技術により作動温度範囲が向上した点が特徴。マイナス40度―プラス125度Cまで対応できる。さらに、毎時300キロメートルの走行に相当する2000Gの加速度下でも動作できる点を強みとする。
TPMSはタイヤ内の空気圧や温度などを測定して運転席に無線送信できるシステム。運転手はタイヤのパンクといった異常を察知できる。欧米を含む海外ではTPMSの装着義務化が進む。自動運転の実用化に伴いTPMSへの需要が一段と高まると予想されることから、マクセルは市場の拡大をにらみ投資を判断した。
日刊工業新聞 2024年05月24日