温度検知して充電制御…ミツミ電機、端末電池用保護ICを拡充
ミネベアミツミグループのミツミ電機(東京都多摩市、岩熊勝行社長)は、スマートフォンやタブレットなどの端末に使われるリチウムイオン電池(LiB)用の保護集積回路(IC)の種類を拡充する。温度によって抵抗値が変わるNTCサーミスタによる温度保護機能を新たに搭載した「MM415xシリーズ」を市場投入し、端末の安全な充電に寄与するほか、端末検査時の効率向上を狙う。サンプル出荷中で、サンプル価格は消費税抜きで1個当たり60円。7月の量産開始を目指し、生産量は月間300万個を予定する。
MM415xシリーズは従来品「MM414xシリーズ」に新機能を追加、NTCサーミスタをICの端子に接続することで、電池の温度上昇を検知する。NTCサーミスタの抵抗値の変化をICが検出し、充放電を制御することで安全な充電を可能にする。
また、端末の検査をしやすくする「強制遮断機能」も追加。電池パックをスマホなどの端末側と電気的に切り離せるようにした。従来、端末側の性能を検査する際には電池パックを取り外していた。ただ電池パックを取り外しにくい構造の端末が増えたため、検査効率が低下していた。
大きさは幅1・6ミリ×奥行き1・6ミリ×高さ0・4ミリメートル。ICチップを載せるフレームを指す「タブ」がある製品と、タブがない製品を用意した。タブがないことで基板上に配線を通せるため、基板設計の自由度を高めることができる。
MM415xシリーズの生産は日本国内を予定する。主な用途はスマホなどのリチウムイオン二次電池パックのほか、リチウムポリマー二次電池パックを想定する。
保護ICは保護回路基板に搭載し、電池の正極と負極につないで使う。保護ICを用いることで電池への負荷を減らし、端末の発火事故の防止につなげられる。
日刊工業新聞 2024年5月9日