日立・パナソニック・三菱電機…電機7社の決算全容、本業好調も事業環境は不透明感
2023年4―12月期
電機7社の2023年4―12月期連結決算が14日出そろった。本業の堅調さや為替の円安傾向などが後押しし、当期損益は4社が増益だった。2社は減益、1社は黒字転換となった。中国経済の減速が長引き、工場自動化(FA)市場への影響が懸念されるなど、今後の事業環境には不透明感も漂う。
日立は24年3月期の連結当期利益を従来予想比100億円増の5300億円に上方修正した。脱炭素関連で送配電事業など、子会社の日立エナジー(スイス・チューリヒ市)を中心とする「受注残が積み上がっている」(河村芳彦副社長)。デジタル変革(DX)関連事業も含め、引き続き好調を維持する。
パナソニックホールディングス(HD)の23年4―12月期連結当期利益は、前年同期比2・5倍の3991億円と過去最高を更新。電気自動車(EV)向け電池の米国政府の補助金などが利益を押し上げた。一方、欧州での補助金見直しなどを受け、ヒートポンプ式温水暖房機の需要が急減しつつある。
三菱電機も23年4―12月期連結決算は増収増益だったが、足元の空調機器は「欧米を中心に需要が弱い」(増田邦昭常務執行役)。FAシステム事業も中国をはじめとする東アジア地域でリチウムイオン電池(LiB)の設備投資の延期などの影響で減速している。
富士通は欧州での構造改革の費用を計上したため、24年3月期連結業績予想の営業利益を23年10月公表比700億円減の2500億円に下方修正した。
NECは旺盛なDX需要を取り込み、23年4―12月期連結決算は増収営業増益だった。社会インフラ事業では航空宇宙・防衛(ANS)の調整後営業利益が同39・8%増となった。
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日刊工業新聞 2024年02月15日
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