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30年度売上高4兆円へ、富士フイルムHD新中計の中身

30年度売上高4兆円へ、富士フイルムHD新中計の中身

新中計を説明する後藤社長

富士フイルムホールディングス(HD)は17日、2024―30年度の7カ年を対象とした中期経営計画を発表した。30年度に過去最高となる売上高4兆円を目指す。成長領域に位置付けるバイオ医薬品の開発・製造受託(CDMO)や半導体材料を中心に、24―26年度の3カ年で総額1兆9000億円を成長投資に回す。後藤禎一社長は「収益性と資本効率を重視した経営により、ステークホルダーの価値を生み出す」と意気込んだ。

富士フイルムHDは従来、30年度売上高目標を3兆5000億円以上としていたが、今回、初めて4兆円の大台を目指す。また30年度に営業利益率15%以上、自己資本利益率(ROE)10%以上、投下資本利益率(ROIC)9%以上を目標に据えた。

新中計は26年度までに積極投資し、27年度以降に利益獲得段階に入る構想とした。26年度に売上高3兆4500億円、営業利益3600億円を目指す。

富士フイルムHDの業績

23年度の連結業績予想は売上高2兆9600億円、営業利益2770億円とし、いずれも過去最高を更新する見込み。21―23年度を対象とする前中計の目標は22年度に前倒しで達成し、ヘルスケアやエレクトロニクスの両セグメントで事業基盤の構築を進めた。

ただ23年度のROEは8・2%、ROICは5・6%で、それぞれ計画未達で終える見通し。成長領域での大型設備投資の追加決定や、コロナ禍によるサプライチェーン(供給網)逼迫(ひっぱく)に伴う棚卸し資産の積み増しが要因だ。後藤社長は「市況などの環境変化へのレジリエンス(復元力)を強化し、各事業の収益性向上に取り組む」とし、前中計で残った課題に対処する考え。

日刊工業新聞 2024年4月18日

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