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木材チップ運搬専用船のチップかき出す、日本郵船などロボット実用化へ

木材チップ運搬専用船のチップかき出す、日本郵船などロボット実用化へ

専用船の木材チップをかき出すロボットの試作機、作業効率の向上や作業者の負担軽減が期待される

日本郵船日本製紙など4社は、木材チップを運搬する専用船からチップをかき出すロボットを2024年度内にも実用化する。作業員が重機や手作業で対応している現状をリモコンによる遠隔操作ロボットに置き換え、作業効率を高める。ロボットの活用により、作業環境の改善や安全性の向上、人手不足の解消などにもつなげる狙いがある。(下氏香菜子)

遠隔操作されたロボットがアームを動かし、船倉の隅にある木材チップを器用にかき集める―。

日本郵船と日本製紙、知能技術(大阪市北区)、岩国産業運輸(山口県岩国市)の4社は5日、日本製紙岩国工場(同)で船倉内の木材チップをかき出す専用ロボットの実証試験を行った。作業員がリモコンを使ってロボットを遠隔操作し、機能性や安全性を確かめた。実証で取得したデータを基に性能をブラッシュアップし、24年度内をめどにロボットの初号機を完成させる計画。まず日本製紙が運用を始める予定だ。

ロボットは油圧ショベルカーのアームとスクレーパーと呼ばれるへら、ブラシなどを搭載し、作業員がリモコンで遠隔操作する。アームは高さ3メートルまで伸ばすことが可能で、船内の壁に付着したチップを剥がしとったり、船倉の隅や狭い空間にたまったチップをブラシで寄せ集めたりできる。

専用船で運搬された木材チップは現状、作業員がショベルカーで寄せ集め、クレーンで荷揚げしている。ただ船倉内の壁や隅に残ったチップはこれらの重機では届かないため、作業員がスコップやフォークのような道具を使い手作業でかき出す必要があり、手間がかかっていた。

また、作業員は高さ10メートル程度ある船倉内を上り下りしたり、チップが酸素を吸収することで船倉の酸素濃度が低下し酸欠になったりするリスクがあるなど、作業環境に改善の余地があった。作業員の高齢化に伴う人手不足も課題になっている。

こうした課題の解決に向け、4社は各社の知見を融合。約2年前から、ロボットの開発と実用化に向けた取り組みに着手した。初号機の完成後もリモコンによる遠隔制御を高度化するなどし、引き続きロボットの改良を重ねる方針だ。

ロボットの活用・普及により現在の作業環境を改善するとともに、将来的にはオフィスなど荷役現場から遠く離れた場所から、安全にかき出し、作業を進められるようにしたい考え。女性や高齢者を含め多様な人材が業務に従事できる環境の実現を目指す。

日刊工業新聞 2024年4月18日

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