アンモニア燃焼車に道…ダイヤモンドエレHD、出力4倍超の点火コイルを開発
ダイヤモンドエレクトリックホールディングス(HD)は出力エネルギーが最大700ミリジュールと業界最高水準のエンジン点火コイルを開発した。出力は一般的な通常機と比較して4倍超という。超低燃費のスーパーリーンバーン(希薄燃焼)やアンモニア燃料など、点火に高エネルギーが必要なエンジンの開発に道を開く。二酸化炭素(CO2)を排出しないアンモニアエンジンなどの実用化に向け、2024年度にも自動車メーカーなどと協業を始める。
ダイヤモンドエレクトリックHDが開発したのは点火コイルの試作機。一般的な通常機の出力エネルギーは最大150ミリジュール程度という。
スーパーリーンバーンは燃焼しにくい希薄ガスを高エネルギーで点火する必要があり、通常機の場合は2機を一つのシリンダーに設置する事例もある。一方、試作機のコイル部は体積220立方センチメートルで、エンジンのシリンダー上に設置できる小型化を実現。1機で700ミリジュールまでエネルギーを高めつつ、スペースの小さな小型エンジンにも設置できる。
試作機は2体のコイルを内蔵する。エネルギーが高密度になるため、高い耐電圧性を求められる。そこでコイルの巻き線の配置や機体を封入する樹脂などの技術を改善し耐電圧性を強めた。
エンジンにかかる負荷に合わせ、四つの点火パターンも備えた。具体的には①コイル2体で時間をずらす連続複数点火②コイル2体の複数点火③コイル2体の点火④コイル1体の点火―の四つで、これらのパターンに可変することで燃費を節約する。
圧縮天然ガス(CNG)車を用い、アンモニアを燃料に走行を伴わない実証実験を実施。通常機の点火コイルではエンジンが途中で止まったが、試作機は正常に稼働を続けたという。電気自動車(EV)は高コストや給電網の不足で成長が鈍化している。超低燃費やCO2ゼロを燃焼技術でも実現して訴求する。