鋼材・鉄スクラップ相場が上昇しない…「中国の勢いが戻れば」
国内の鋼材および鉄スクラップ相場がなかなか上昇しない。国内の鋼材では、店売りの熱延薄板、亜鉛鉄板、丸クギの各相場は、いずれも持ち合いが続いている。関係者はいずれも中国経済に期待している。「中国の勢いが戻れば、国内市況も回復が見込める」と口をそろえるが、依然先行きは見通しにくい。
店売りの熱延薄板は、流通筋によると「中国メーカーの製造した板が不景気によって中国国内で消費しきれず、日本市場に多く輸入されてきている」という。輸入材は国内材に比べ2、3割程度価格が安く、相場上昇の足かせになっている。
店売りの亜鉛鉄板や丸クギも同様だ。丸クギは国内で流通される製品の9割以上が中国製。「旧正月が明けてから中国での相場は下がっていて、同国からの輸出品を受ける日本の相場も上がらない」(流通筋)。
鉄スクラップも同じ事情が当てはまる。関東鉄源協同組合の4月契約分輸出入札での落札価格は、関東の地場電炉メーカーのスクラップ買い取り価格を下回った。同組合の南光司代表理事は「中国市場に本格的な需要回復が見られない」と現状を説明し、中国の景気動向を注視している。
日刊工業新聞 2024年04月13日