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米国に商機あり、コニカミノルタの「ガス監視ソリューション」とは?

米国に商機あり、コニカミノルタの「ガス監視ソリューション」とは?

石油・ガス施設をカメラで撮影し、メタンの漏えいを監視

コニカミノルタの「ガス監視ソリューション」システムが米国の温暖化対策に一役買いそうだ。バイデン米政権の気候変動政策によって、メタンの排出に厳しい規制が課せられたためだ。同社のシステムはカメラで撮影した画像で石油・ガス施設のメタン漏えいを発見でき、事業者は対策を打ちやすい。再生可能エネルギーや省エネルギー機器以外にも、気候変動対策の強化によって生まれる商機がある。(編集委員・松木喬)

コニカミノルタのシステムを構成するカメラを設備に向けると、肉眼では見えないメタンが大気中に流れ出ている様子が分かる。赤外線によってメタン特有の波長を検知できるためだ。画像データから排出量を計算し、報告書にまとめることも可能だ。

米国では一部の石油・ガス施設にメタン漏れの検査や報告を義務付けてきた。バイデン政権は気候変動対策に重点を置いたインフレ抑制(IRA)法で規制を強化し、すべての施設に対象を拡大。排出量が基準を超えた事業者からは課金を徴収する。2024年は1トン当たり900ドル(13万円)の支払いだが、25年は1200ドル、26年以降は1500ドルと一気に引き上げる。

そこで関心を集めているのが直接測定だ。これまで、バルブやタンクなどの設備ごとに漏えい量を推定する方法がとられていた。漏れを常時計測する直接測定なら量が正確に分かり、適切な課金を支払える。

メタン漏えいを可視化した画像

しかも直接測定は発見が早く、対策も打ちやすい。現状、作業者が施設内の各設備を回って気体を採取し、漏れを確認している。高所や高熱の場所は、近付くだけでも危険だ。カメラによる直接測定なら施設全体を撮影し、漏えいを見つけ出せるため作業者の負担も少ない。

先進的な石油・ガス事業者は直接測定を始めており、漏えいを見つけ次第、対策を講じていることをPRしている。取引先を含めた温室効果ガス(GHG)排出量を気にかける大企業が増えており、事業者にとっては取引において訴求ポイントになるためだ。また、石油・ガス事業者が加盟してメタン排出削減に取り組む国際組織も、正確な測定技術を推奨している。

シェールガス革命が起きた全米には多くのガス井がある。カメラは簡単に移動でき、複数拠点の監視ができるのもメリット。コニカミノルタはIRA法による規制強化によって、全米でカメラ1000台が必要になるとみている。カメラによる直接測定可能なシステムを製品化している主なメーカーは同社を含め3社のみで、商機を見込む。

天然ガスの成分であるメタンは地球温暖化を助長するGHGの一種で、二酸化炭素(CO2)の25倍の温室効果がある。国連機関の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、19年に人間活動によって発生した全世界のGHGのうち18%をメタンが占めており、64%のCO2に次いで多い。日本を含む100カ国が、メタン排出量を30年までに20年比30%削減することに合意している。

日刊工業新聞 2024年4月11日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
IRA法は規制強化だけでなく、メタン漏えい対策の補助金も用意しています。メタン課金の歳入があるので、補助金の歳出を賄える(収支バランス)計算です。水田のメタン、牛のげっぷのメタンも最近、よく聞きます。CO2に続いてメタン対策が潮流になりそうです。

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