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独自LLM「ツヅミ」で攻める、NTTが技術者育成

独自LLM「ツヅミ」で攻める、NTTが技術者育成

島田明NTT社長が3月にツヅミの商用提供を発表した

NTTは生成人工知能(AI)の基盤となる独自の大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi(ツヅミ)」を顧客企業向けにカスタマイズ(個別対応)するIT技術者の育成を始めた。法人向け事業を手がけるNTTグループ各社から計100人超が参加したツヅミ技術者育成プログラムを新設。同プログラムを通じて学んだ効率的なツヅミのファインチューニング(調整)法を自社に持ち帰り、ツヅミ構築のノウハウ共有につなげる。

NTTデータグループ、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)、NTTコムウェアのほか、NTT東日本、NTT西日本、NTTアドバンステクノロジ、NTTテクノクロスなどのIT技術者が参加。数百ページに及ぶノウハウ集を基にリアルとオンラインによる研修を始めた。

LLMのファインチューニングは、学習済みのモデルに独自データを追加で学習させることで生成AIの回答性能を向上させる調整手法。実際にデータを使って回答性能を上げていく経験を重ねないとノウハウを習得しづらいため、ユースケース(活用事例)で利用可能なデータを基に回答性能を上げる検証作業を行っている。

LLMが持つ癖や回答性能を上げる調整法を理解している技術者からのアドバイスを受けたことで、回答性能を急上昇させた事例が生まれているという。

NTTはツヅミを用いた業界・業務特化型生成AIの導入を検討するパートナー企業の募集を5月に始める。パートナー企業の業界特化データとツヅミを組み合わせたLLMを作る「モデルパートナー」、パートナー企業の提供サービスとツヅミを連携する「ソリューションパートナー」などを用意した。これらのパートナー企業と連携し、業界・業務ごとのひな型の構築を目指す。

日刊工業新聞 2024年04月08日

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