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住友林業が構造部材を米全土で供給、積水ハウス・大和ハウスも開拓急ぐ

住友林業は屋根や床のトラスなど構造部材の供給エリアを全米に拡大する。2025年度からワシントン州など西部エリアにも広げ、同社が米国で供給する住宅戸数のうち、27年度までに最大で3分の2程度に部材を供給できる体制を整える。米国では人口増に伴い中長期的に住宅需要が拡大する見通し。日本の住宅各社も米国市場の開拓を急いでおり、同社は部材の安定供給と施工の合理化で競争力を強化する。

住友林業は米国で部材の設計・製造から配送、住宅施工まで自社グループで完結させるFITP事業を展開している。同事業は現場の施工負担を減らせるため、労働者不足への対応やコスト削減を図れる。現在は東部・メリーランド州の工場でトラスや壁パネルを生産し、自社グループのビルダーに年間約2000戸分を供給する。また23年度には供給戸数の多い南部・テキサス州の構造体メーカーを買収した。3月には南東部・ノースカロライナ州で工場を稼働する予定。

今後も自社の設備投資やM&A(合併・買収)を通じて工場を取得、供給エリアを広げる。25―27年度には西部エリアのワシントン州、コロラド州、アリゾナ州、カリフォルニア州にも供給できるように、近隣に工場を確保する。30年度には米国販売戸数を23年度の2・3倍となる2万3000戸に引き上げる計画で、部材の安定供給とコスト削減で競争力を高め同業を追撃する。

米国では合法的に年間100万人の移民が流入しており、住宅購入を目指す層が年々増加している。またリーマン・ショック時に新築住宅の供給が止まった影響で、20―40代の需要に対して中古住宅の数が不足。新築住宅の需要が一段と高まっている。

こうした中、積水ハウスは1月、米ビルダー大手のMDCホールディングス(コロラド州)の買収を決定。米国での年間供給戸数は22年度実績で1万5000戸を超え、住友林業グループと大和ハウス工業グループを抜き全米5位に躍り出る。

一方、大和ハウス工業は23年にJPホールディングス(カリフォルニア州)の一戸建て住宅事業を、24年1月にはジョーンズ(テネシー州)の同事業の買収を公表。西部・南部・東部で同事業を拡大している。中古住宅の再販事業にも着手しており、26年度に米国事業の売上高を22年度比約1・7倍の7300億円を目指している。

日刊工業新聞 2024年03月19日

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