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旭化成、住友化学、三菱ケミカル…EVシフト狙う新材料の顔ぶれ

旭化成、住友化学、三菱ケミカル…EVシフト狙う新材料の顔ぶれ

旭化成がバッテリーカバー向けに提案するガラス繊維織物とポリアミドを組み合わせた材料「レンセン」

総合化学メーカーが電気自動車(EV)向け部品の提案を加速する。旭化成は2025年をめどにバッテリーカバー向けの製品などの量産化を目指す。住友化学は再生ポリプロピレンと木材を活用した部品について、25―30年をめどに採用を狙う。三菱ケミカルグループも樹脂部品の採用拡大などを目指している。25年以降に日系自動車メーカーによるEV投入が本格化するのを見据え、軽量化や環境に配慮する部材として訴求する。

旭化成のガラス繊維織物とポリアミド樹脂を組み合わせた材料「レンセン」は、バッテリーカバー向けを想定している。車メーカーが求める形状などに対し加工メーカーと連携して製品を提案する。25年までの量産化を目指す。

バッテリーカバーの材料としては従来、鉄やアルミニウムが使われていたが、バッテリーカバー周辺の部品や機能を集約するなど軽量化を実現。耐久性も担保する。

また旭化成はEVでスポーツカーのエンジン音などを味わえるアンプユニット「エンジンサウンドクリエイター」を提案する。中国では一部採用実績があるというが、国内ではEVシフトが本格化する25年頃からの採用を目指す。

住友化学が住友林業と連携して開発する木材繊維強化再生ポリプロピレン

住友化学は住友林業と連携して開発する木材繊維強化再生ポリプロピレンについて、25―30年めどに採用を狙う。市場から回収したポリプロピレンと、計画的に植栽や伐採された木材などを組み合わせ、環境面に資する車部品として提案する。軽量化に貢献するほか、木目調などデザイン面の特徴を訴求する考え。EVだけでなくスマートフォン用ケース向けなどでも採用を働きかける。

三菱ケミカルグループは部品に貼付することでロードノイズなどの低減につながる音響メタマテリアル遮音・制振シート「レゾコア」を開発したほか、高放熱絶縁樹脂シートなどでEV需要を捉えた拡販につなげる。

三菱ケミカルグループが開発するノイズ低減に貢献するシート「レゾコア」

日系車メーカーでは、トヨタ自動車が26年までに10モデルのEVを市場に投入し、世界販売台数を年間150万台とする計画を掲げるなど25―30年に向けてEVシフトが本格化するとみられる。化学メーカー各社は軽量化や環境負荷の低減といったニーズに対応した製品の提案を強化する考えだ。


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日刊工業新聞 2023年05月31日

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