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国際レース「フォーミュラE」で訴求加速、米ダウがEV用製品拡充

国際レース「フォーミュラE」で訴求加速、米ダウがEV用製品拡充

ダウはフォーミュラEに参戦するジャガーTCSレーシングの公式マテリアルサイエンス・パートナーを務める

米ダウは電気自動車(EV)に関わるモビリティーサイエンス技術の取り組みを活発化している。EV需要を捉え、グローバル体制や素材製品の強みを生かしつつ、30日に都内で開催されるEVの国際レース「フォーミュラE」に参戦するチームのパートナーも務める。この機に併せてダウのEV向けソリューション訴求を加速する考えだ。(山岸渉)

モビリティーサイエンス技術を説明するダウ・ケミカル日本の柴田技術統括部長

「着実にEVは伸びていく。当社は米国を本拠地にグローバルに展開しつつ、生産などローカルにもしっかり足を置いて活動しているのが特徴だ」。ダウ・ケミカル日本(東京都品川区)の柴田博和技術統括部長兼ダウ日本開発センター所長はこう強調する。

ダウは30日に都内で開催されるフォーミュラEに参戦するジャガーTCSレーシングの公式マテリアルサイエンス・パートナーを務める。EVレーシングカーへの素材提供を通じて、一般道を走行する車両向け材料としての実用化にもつなげたい考えだ。

ダウが提供するEV向け製品は幅広い。例えばEVバッテリーのアセンブリー向け用途として、構造接着、ポッティング・封止材、耐熱・耐寒レイヤー、緩衝・難燃・延焼防止などの材料をそろえる。さらなる軽量化などに貢献するため、シリコーンやポリウレタンを活用した素材の提案を進めている。

またバッテリーマテリアルではリチウムイオン電池(LiB)向け化学品を提供する。アノード向けに導電性・密着性を高めるアクリル酸ポリマーや、セパレーター向けに熱暴走を防止する多孔性コーティング、バッテリーパック向けに耐腐食性に優れる冷却液などを用意する。

リン酸鉄LiB用化学品については、ダウの分散剤は一般的な分散剤に比べ、導電性や電池容量の向上、分散時間の短縮が可能な点が強みだ。

このほか内装関係ではポリウレタンフォームの低臭気化、揮発性有機化合物(VOC)の低減に寄与する原因解析、原料の設計・生産、顧客向けカスタマイズにも力を入れている。

サステナビリティー(持続可能性)関連では、日本でリサイクル品を展開する体制作りも想定する。まず主に海外からリサイクル品を調達し、日本で提案を進める方針。事業が一定程度確立した上で、国内で生産を含めた協業を検討する構え。

ダウはEV化の進展を捉え、競争が激しくなる中でもフォーミュラEを通じて得られる知見やグローバルネットワークの強みなどを生かす考えだ。

日刊工業新聞 2024年3月12日

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