SDGsの潮流に乗る日華化学、フッ素フリーの撥水剤で海外アパレルに売り込み

  • 0
  • 2
撥水剤「ネオシード」の技術をアピールするブランドタグをつけたウインドブレーカー

フッ素フリー撥水剤を拡販

日華化学は繊維加工薬剤の国内トップメーカーで、近年は海外の大手アパレル会社に直接マーケティングを進めている。そこで重要なテーマが環境負荷物質の排除。国連の掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の潮流と相まって、環境対応の技術に力を集中する。

戦略商品が撥水(はっすい)剤「NEOSEED(ネオシード)」。フッ素化合物を使わない撥水剤シリーズで、加工後の洗濯耐久性などの品質がポイントだ。「フッ素フリー志向のアパレル世界大手の市場で、推定20%のトップシェア」と池端和彦化学品部門繊維化学品事業部事業部次長は胸を張る。

その中でダウンジャケット用として好調なのが2018年投入の「NR―8800」。主成分はシリコーン系だ。

最近のダウンは薄手で、小さく丸めてかばんに入るポケッタブル型が人気。柔らかな生地の風合いが肝心だが、フッ素フリーの撥水加工との両立は無理というのが長く定説だった。柔らかい風合いになる従来のシリコーン系で加工すると生地の糸が滑りやすくなり、特に薄手の生地は引っ張りの力がかかると生地の目が崩れ、羽毛が漏れるからだ。

それに挑戦し、「数千のサンプルを作り、絞り込んだ。従来のシリコーン系とは化学構造が違い、撥水性も桁違い。糸も滑らないものができた」と界面科学研究所商品開発研究部繊維化学品開発1グループの後藤昌央サブリーダーは特徴を話す。

シリコーンの知見を持つ米ダウ(ミシガン州)と共同で開発。両社の技術イノベーションは高く評価され、20年9月に著名な米国の「R&D100アワード」の表彰を受けた。

撥水剤のイノベーションは高く評価され、米国の「2020R&D100アワード」を受賞した

アパレルの世界大手ブランドは“疑わしき”を含む有害性物質を製品から排除するよう、発注先に要請を強めている。半面、多くの中堅ブランドは安全性を高めたフッ素系の撥水剤を使い、全体はフッ素系が主流。日華化学も高付加価値のフッ素系は引き続き重点分野だ。微妙な情勢だが「10年後、アパレルはフッ素フリーが過半となる可能性が高い」と池端事業部次長はみる。持続的成長の潮流を注視しながら、繊維産業の環境負荷軽減に貢献する各種ソリューションの提供を強化する。

日刊工業新聞2021年3月2日

関連する記事はこちら

特集