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メガソーラーの大きな問題「盗難被害」に対策、AIシステムの仕組み

メガソーラーの大きな問題「盗難被害」に対策、AIシステムの仕組み

AIが人の存在を検知し自動で撮影・送信する。(左)日中に撮影した画像(右)夜間撮影の画像

日本遮蔽技研(福島県本宮市、平山泉社長)は、人工知能(AI)が人や車を認識し、大規模太陽光発電所(メガソーラー)で銅線ケーブルの盗難などがあった場合に現場画像を関係者に自動で即時配信するサービスを2月中に始める。メガソーラーでは盗難被害による発電停止や閉鎖が大きな問題となっている。同社は太陽光発電の関係団体や複数の警備会社と事業連携に向けた協議を始めており、全国に向けて事業展開する。

開発したのは「無人警戒システムVIGILA(ヴィジラ)」。20日に受け付けを始める。クラウドサーバーの月額料金は、スチルカメラ1台当たり1500円(消費税抜き)。工事現場や資材置き場・文化施設・被災地での盗難警報発出、不法投棄の監視などにも使えるという。

仕組みは単3電池12本で半年以上稼働するスチルカメラを現場に設置し、内蔵の近赤外線センサーが動く物体を検知すると、その画像をLTE通信経由でクラウドサーバーに送信。クラウド側のAIが人や車の存在を認識して関係者に画像付きメールを配信する。警備会社や管理会社では画像を見て警察への通報を判断する。

万が一カメラが破壊されても証拠となる画像はクラウドに保存される。新たに警報装置と動画カメラの開発も進め、5月をめどにオプション提供を予定。警報装置はサーバーからの自動操作で回転灯が点灯、警告音声を発する。動画カメラは夜間を含めカラー動画を内蔵ストレージに録画し、顧客や警備会社側からクラウド経由で動画にアクセスできるようにする。

日本遮蔽技研はこれまでAI画像認識によるイノシシ、サル、シカの害獣出没警報サービス「あいわなクラウド」を6自治体に提供してきた。銅価格の上昇に伴ってメガソーラーでの盗難被害が相次ぎ、事業者から切実な要望が寄せられたことから新サービスの事業化に踏み切る。今回から獣害対策機能の獣種には新たにクマも加え、VIGILAの料金内で併用できる。

日刊工業新聞 2024年2月20日

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