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ニコンが5年ぶりトップ交代、銀行出身・徳成新社長の素顔

ニコンが5年ぶりトップ交代、銀行出身・徳成新社長の素顔

徳成次期社長(右)と馬立社長

ニコンは15日、徳成旨亮副社長(63)が4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。馬立稔和社長(67)は代表権のある会長に就く。社長交代は5年ぶり。ニコンの業績は2022年3月期以降回復傾向にあるが、成長を続けるにはグループ全体の力を一段と引き上げる必要がある。新社長の下で経営基盤を強化し、中長期の飛躍につなげる。

馬立氏は同日の会見で「徳成氏は技術出身の私とは違う知見を持っている。今までも最高財務責任者(CFO)にとどまらない視点で戦略を推進してきた」などと説明。徳成氏は「責任は重いが、IT投資や生産拠点の整備などで経営基盤を強化し、光学と精密技術で世界に貢献するニコンの夢を実現したい」と述べた。

徳成氏は三菱UFJフィナンシャル・グループ、ニコンと業種をまたいで長くCFO職を担ってきた。ニコンでは20年の入社直後、コロナ禍などの影響で創業以来最大の赤字が明らかになった。CFOとして社内外に業績の底打ち感をアピールする一方、構造改革やバランスシートの改善を一気に進め、V字回復につなげた。

一方で現中計で掲げる営業利益700億円の達成は「想定より苦戦している」(徳成氏)。高い光学技術を持つ一方、「やや保守的」(同)な面もある社内を変え、オープンイノベーションも含め有効な成長戦略を取れるか、手腕が試される。 

【略歴】徳成旨亮氏 82年(昭57)慶大法卒、同年三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入社。13年専務。20年ニコン取締役専務執行役員。福岡県出身。

素顔/ニコン社長に就任する徳成旨亮(とくなり・むねあき)氏
黒子に徹し技術者の力引き出す 

「銀行出身というイメージを持っていない」。国内外の現場を訪れ技術的な理解を深めてきた徳成氏の印象を馬立氏はこう話す。

徳成氏は銀行でCFOを務め、ニコンでは安定的な黒字体質への転換に取り組んだ。社長就任の打診を受けた時の心境も「金融パーソンは黒子であるべきだと思っている。プロパーがふさわしいと考えていた」と打ち明ける。

周囲を支える経営スタイル。技術者の力を引き出し、外部と触れ合うことで自前主義から脱却する。頑固でせっかちな一面があると自己分析するが「仕事する姿が楽しそう」とは周囲評。ある銀行関係者は「とにかく明るく、人望がある」という。

「本来、ビジネスは楽しみながら夢を実現するもの。シニアがチャレンジする姿を見せることが会社の成長のためにも大事」と話す。座右の銘は「明るければすなわち強し」。専門性、公明正大、そして明朗さを重んじる。(阿部未沙子)

日刊工業新聞 2024年02月16日

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