後継者問題ひとまず解決、ニデック次期社長発表で永守会長が語ったこと
ニデックの経営課題であった永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)の後継者問題がひとまず解決した。14日会見した、岸田光哉次期社長は「ニデックの原点に立ち返り、第2創業を成し遂げる」と意気込んだ。一方、CEO職から退く永守会長は「サポーターに徹する」としつつ、同社の成長の原動力の一つであるM&A(合併・買収)に継続して携わる。新しい経営体制での成長が期待される。
新社長の最初の関門は、足元の懸念材料である電気自動車(EV)向け駆動装置「イーアクスル」事業の早期立て直しだ。自らも、車載事業本部長として不振のイーアクスル事業の立て直しに当たってきた岸田氏は「(同事業再建に向けた)事業戦略の短期的な方向修正は考えていない」とし、まずは営業黒字化へ全力を注ぐ。
一方、CEO職を退く永守会長は、M&Aや同社の精神的支柱としての役割に継続して取り組む。代表取締役グローバルグループ代表として、最長4年間は代表権を持つ。岸田次期社長への負担軽減や株主や投資家への安心感の考慮などに加えて、永守会長は「海外企業のM&Aのトップ交渉の場では、代表権を持たないとまずい」と説明する。
永守会長は4年後以降については「おそらく名誉会長になるのではないか」と自身の今後ついても言及。京都先端科学大学理事長としての業務に比重を移す。ただ「場合によっては新しい会社を起業するのもあり。どこまでも夢を追い続けないと」と付け加えた。
素顔/ニデック社長に就任する岸田光哉(きしだ・みつや)氏・協調型のリーダー
ニデックに入社して2年と社歴は浅いが、永守氏に「社員から支持されているかどうかは2年も見ていたら分かる」と言わしめた。指名委員会の酒井貴子委員長は「同僚や部下、顧客との信頼関係や協力体制を築ける。部門間の敷居を低くして働きかけられる」点などを選任理由として挙げた。
性格はオープンマインド。「風通しが良く、いろんな議論がオープンにできる会社にしていきたい」(岸田氏)と、持ち前の性格を発揮していく。カリスマ的な永守氏とは対照的な協調型のリーダー像が垣間見える。
永守氏の後は誰が担当しても簡単ではない。それだけに岸田氏自身は早くも次世代の育成を見据える。「指針とすべき行動規範の“ニデックウェイ”をどう浸透させるか、世界中の若手社員らと対話したい」と話す。
趣味は音楽。学生時代にバンドを組み、京都のライブハウスで演奏したことも。(京都・新庄悠)
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