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リコー・セイコーエプソンは営業減益…事務機器5社の営業益はまだら模様

中国の景況感悪化など影響

事務機器(OA)5社の2024年3月期(キヤノンは24年12月期)連結業績予想は、3社が増収、1社が横ばい、1社が減収となる見通しだ。一方、営業損益は増益が2社、減益が2社、黒字転換が1社の見込み。中国の景況感悪化に加え、国内外のオフィスで印刷需要が落ち込む中、流通市場の在庫削減や生産調整が続く。為替水準の変動は当面小さいとみられ、円安効果の上積みも期待しづらい。一段のコスト削減と本業での稼ぐ力が求められる。

キヤノンは24年12月期の営業利益を前期比15・9%増の4350億円と見通す。コストダウンに加え、開発、生産、販売の経費構造を全面的に見直すことで経費率を下げる活動を2年間かけて実施し営業利益率を10%まで回復させる。オフィス複合機の受注は良好で、製品ラインアップ強化による増収を図る。レーザープリンターは出荷調整が終了して増加に転じるとしており、プリンティング事業の売上高は前期比1・8%増を目指す。

富士フイルムビジネスイノベーション(BI)は24年3月期に減収営業増益を見込む。ただ、欧米向けの複合機や消耗品の輸出が減少したことなどを踏まえ、営業利益を23年11月公表比70億円減の710億円に下方修正した。

一方、リコーセイコーエプソンは24年3月期に前期比2ケタの営業減益を予想する。リコーは複合機の販売台数が想定を下回ったことや、欧米でサーマル事業の需要が低迷していることなどを踏まえ、連結営業利益を23年11月公表比100億円減の600億円に下方修正した。23年度内に在庫や生産調整に区切りをつけ、24年度に向けて需要変動に応じた対応を進める。また東芝テックとの複合機の開発・生産部門の統合について、24年7月に共同出資会社「エトリア」を設立する。

セイコーエプソンは市場環境の悪化に加えてマイクロデバイス事業の回復遅延などを想定し、24年3月期の連結営業利益を23年10月公表比120億円減の680億円に下方修正した。コニカミノルタは24年3月期連結業績予想を据え置いた。

印刷需要の緩やかな縮小が見込まれる中、OA各社はあらためて収益源の多様化を加速する必要がある。

日刊工業新聞 2024年02月09日

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