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世界が注目…CO2からプラスチックに替わる新素材、TBMが量産へ

世界が注目…CO2からプラスチックに替わる新素材、TBMが量産へ

回収したCO2から製造した炭酸カルシウムを主原料した新素材でできたカップ

ダボスで公開

TBM(東京都千代田区、山﨑敦義最高経営責任者〈CEO〉)は、排ガスから回収した二酸化炭素(CO2)と、製鉄所の副産物である鉄鋼スラグから抽出したカルシウムを合成した炭酸カルシウムを主原料とする新素材を開発した。石油由来プラスチックと同様、自由な形状に加工できる。1月中旬、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で公開すると、CO2を資源化する「カーボンリサイクル技術」として注目を浴びた。(編集委員・松木喬)

※自社作成

TBMは天然の石灰石(炭酸カルシウム)を主原料とする石油プラスチック代替素材「LIMEX(ライメックス)」を国内で量産している。開発した新素材は、CO2と鉄鋼スラグのカルシウムで合成した炭酸カルシウムをライメックスの主原料にした。

英国のGreenore(グリーンオレ)が、炭酸カルシウムの合成技術を開発した。同社はCCUS(CO2の回収・貯蔵・利用)を研究していた米コロンビア大学のチームが2016年に設立。23年半ば、中国国営製鉄所に技術導入し、合成した炭酸カルシウムの量産を始めた。

鉄鋼スラグはセメントや路盤材に使われているが、炭酸カルシウムも用途に加わると資源の有効活用につながる。グリーンオレの開発技術は、建設工事などで廃棄物となるコンクリートスラッジからもカルシウムの抽出が可能だ。

TBMはグリーンオレと提携し、ライメックスに適した品質の炭酸カルシウムの供給を受けて24年中の量産を目指す。天然の石灰石からできたライメックスはプラスチック代替のほか、紙代替として名刺や報告書にも用途が広がり、1万件の利用実績がある。合成した炭酸カルシウムを主原料にしたライメックスでも名刺やカップを試作済みだ。

ダボス会議に参加した山﨑CEOが試作品を披露すると、海外の政府関係者から「うちの国でも使いたい」、スタートアップ企業からは「一緒に組みたい」と声をかけられたという。CO2を資源化するカーボンリサイクルは、カーボンニュートラルに欠かせない技術と認知されているためだ。

国内では回収したCO2を利用したコンクリートが製品化されている。水素と合成してメタンを製造するメタネーションの実証も活発だ。政府は23年、「カーボンリサイクルロードマップ」を策定し、30年ごろからCO2を原料にした化学品の普及も見込む。また、50年時点でCO2再利用製品が1億―2億トンになると試算する。

TBMが新しいライメックスを量産すると、ロードマップに先鞭(せんべん)を付ける。同社次世代事業推進室の中村友哉室長は「日本で回収したCO2を使った炭酸カルシウムでライメックスをつくりたい。地産地消が理想だ」と語る。日本の製鉄所などへの導入も見据えながら、量産の準備を進める。

日刊工業新聞 2024年02月08日

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