当期益5300億円…日立が通期見通しを上方修正した要因
DX・脱炭素関連好調
日立製作所は31日、2024年3月期連結業績予想(国際会計基準)を上方修正した。当期利益を23年10月公表値比100億円増の5300億円(前期比18・4%減)に見直すなど、減益幅が縮小する。デジタル変革(DX)やカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の潮流を受け、IT事業のデジタルシステム&サービス、鉄道や送配電事業のグリーンエナジー&モビリティの受注が好調に推移し、業績をけん引する。
24年3月期連結業績予想は、自動車部品子会社の日立Astemo(アステモ)など子会社再編の影響で減収減益の見通し。ただ部門別に見ると、デジタルシステム&サービスは子会社の米グローバルロジックなどの受注が好調で、前回見通しから売上高を800億円上乗せするなど増収増益を見込む。
グリーンエナジー&モビリティでは子会社の日立エナジーで受注残高が約4兆3000億円あるなど「受注が積み上がっている」(河村芳彦副社長)状態。脱炭素の追い風を受けて、業績を大きくけん引した。
また、24年3月期の日立のIoT(モノのインターネット)技術基盤「ルマーダ」事業の売上高は、前期比19%増の2兆3300億円を見込む。機器や設備の「コネクテッドプロダクト」などの領域で事業が拡大している。23年秋には大手電力10社が設立した送配電システムズ(東京都千代田区)から次期中央給電指令所システムを受注するなど、大型案件も獲得した。
【関連記事】 日立が電機業界で勝ち組になったグループ戦略
日刊工業新聞 2024年02月01日