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トヨタが通期を上方修正、当期益4.5兆円…グループで相次ぐ認証不正の影響は?

トヨタ自動車が6日発表した2023年4―12月期連結決算(国際会計基準)は、売上高とすべての利益段階が過去最高を更新した。半導体不足が緩和しグローバルで生産や販売が好調に推移したほか、車両の採算改善や収益構造改善などが利益を押し上げ、営業利益は前年同期比2・0倍の4兆2402億円で着地した。24年3月期連結業績予想も販売台数増や価格改定など営業面の努力を織り込み、売上高と各利益段階を上方修正した。当期利益の予想は前回公表時から5500億円積み増し、4兆5000億円(前期比83・6%増)と初の4兆円台に乗せる見通しだ。

単位億円、増減率%、下段通期見通し、▼は赤字・マイナス。配当がある場合の上段カッコ内は前の期の実績、下段通期見通し

23年4―12月期の売上高は同23・9%増の34兆227億円、当期利益は同2・1倍の3兆9472億円だった。商品力向上や原価低減といった長年の取り組みによる経営体質の強化が好業績を下支えした。

※自社作成

販売は全地域で伸びた。特に北米や欧州などでは需要が底堅く推移した。中国では景気が後退局面に差し掛かっているものの、ハイブリッド車(HV)を中心に販売台数を維持した。

営業利益が増加したのは、営業面の努力として1兆9900億円を積み上げた影響が大きい。高収益車両やHVの販売が増加したほか、北米や欧州での価格改定が寄与した。資材高騰による営業損益ベースのマイナスは3700億円だった。

24年3月期予想は売上高と各利益段階を上方修正した。24年3月期のトヨタ・レクサス生産台数見通しは、前回発表の1010万台を据え置く。想定為替レートは従来予想から変更し、米ドルを2円安の1ドル=143円、ユーロを2円安の1ユーロ=154円とした。

トヨタの宮崎洋一副社長は「高い商品力に支えられ、良い決算となった今だからこそ足場を固め、余力を生み出し、将来の種まきを進める。産業の魅力の向上など人への投資についても2次取引先を含めて支援する」と語る。

通期に向けた懸念材料として豊田自動織機ダイハツ工業などグループで相次ぐ認証不正の影響がある。トヨタによると、24年3月期通期で予想する営業利益4兆9000億円には「把握できる範囲で織り込んだ」とし、ダイハツと豊田自動織機の影響として販売台数ベースで国内20万台の下振れを予想する。


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日刊工業新聞 2024年02月07日

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