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省エネルギーでガラス強化、東北大・AGCが新技術

省エネルギーでガラス強化、東北大・AGCが新技術

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東北大学の小野円佳教授とAGCの安間伸一博士、伊藤節郎博士らは、省エネルギーなガラス強化技術を開発した。高温と低温で膨張率が大きく変わるガラス組成を特定した。急冷するとガラスが急激に縮んで大きな圧縮応力が生じる。圧縮応力がひびの成長を防ぎ耐久性が増す。高温硝酸塩融液に漬ける化学強化法に比べて環境負荷を低減できると見込む。

Na2OとB2O3、SiO2の三組成からなるガラスにおいて、低温(ガラス転移温度以下の50-350℃)の熱膨張率を基準とし、高温(ガラス転移温度以上の650℃付近)の熱膨張率の比を調べた図(東北大学提供)

ガラスにナトリウムとホウ素を添加したアルカリボロシリケート系ガラスの組成と膨張率を調べた。それぞれの元素にはガラス中で原子のつながりを切る役割と、つながりを構成する役割がある。高温ではつながりが切られてさまざまな構造をとって膨らみ、低温では原子のつながりが強くなり収縮する。

実験ではナトリウムとホウ素、ケイ素の元素比が等しくなる組成範囲で、高温と低温の膨張率の差が大きくなった。急冷すると大きな圧縮応力が発生する。実際に表面圧縮応力が一般的なソーダガラスの2倍以上になった。温度制御でより強く強化できると強化ガラス製造の生産コストを低減できると見込まれる。

日刊工業新聞 2024年01月30日

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