大建工業が音響材で非住宅を攻める。10億円で設計開発拠点
大建工業(大阪市北区、億田正則社長)は、音響性能に優れた建材の設計開発拠点を岡山工場(岡山市南区)内に新設する。投資額は約10億円。8月に着工し、2025年10月の稼働を目指す。吸音・遮音性能などを高精度に測定・解析し、オフィスなど非住宅分野でソリューション提案の強化につなげる。吸音天井や防音ドアなど音響建材の事業に占める非住宅比率を現在の12%程度から26年3月期に18%程度へ高め、さらに拡大を図る。
新拠点「新・音響実験棟(仮称)」は現在のR&Dセンターに併設し、延べ床面積は926平方メートル。岡山工場では従来も音響建材の性能試験を行っているが、新拠点ではより大型の残響室などを導入予定。住宅とオフィスの構造上の違いなどを考慮し、人の感じ方の観点も含めて検証する。これまで外部委託していた一部の試験も、新拠点で一貫して実施できる。
コロナ禍でのリモート会議の普及を踏まえ、大建工業は23年4月にオフィス市場などを対象とした「音環境ソリューション事業」の検討を開始。従来の“モノ売り”から“コト売り”へのシフトを掲げ、事業方針を策定中だ。新拠点で具体的な検証を進め、早期の事業化につなげる。
同社は1982年に音響事業を開始し、業界で先駆けて音響建材を展開してきた。住宅向け音響建材の国内シェアはトップクラスと想定。音響事業の売上高は、26年3月期に現状比約3割増の100億円を計画する。ただ将来的に国内住宅市場の縮小が見込まれる中、非住宅向けの拡大が不可欠となっている。
同社は23年末に伊藤忠商事の完全子会社となった。販売で伊藤忠を介した不動産デベロッパーのネットワークなども生かす方針だ。
日刊工業新聞 2024年01月30日