新車シート量産実証、テイ・エステックが埼玉にパイロットラインを稼働する狙い
テイ・エステックは2024年内に、自動車用シートなどを生産する埼玉工場(埼玉県行田市)内で、シートの量産実証用パイロットラインを稼働する。25―27年に立ち上がる自動車メーカーの新車向けシートを実際に生産し、決められた時間内に生産できるか、品質不具合が出そうな工程がないかを検証する。同社が目指す高効率生産体制のための施策。海外工場でシートの量産を立ち上げる際に発生しやすい歩留まり低下などの損失を抑える。
自動車メーカーが世界各地に展開するグローバルモデル向けのシートは、日本国内よりも海外の工場で生産する量が多い。ただ、海外工場でそれぞれに量産を始めると、最初の立ち上げ時に品質のバラつきや歩留まりの低下といった損失が出やすい。この課題を解消するため、シート生産のマザー工場である埼玉工場にパイロットラインを導入し、量産性を実証して、課題をつぶした後で海外工場に展開する。 パイロットラインは24年内に埼玉工場内の空きスペースで稼働を始める。25年9月までに同工場敷地内に建設する新しい技術棟が完成すれば、新技術棟に移設する。
テイ・エステックは埼玉地区で、オプション部品の生産部門の機能集約や物流効率化なども合わせた生産体制の再編計画を進めており、パイロットラインも含めて25年9月までに総額約22億円を投じる。また生産設備の内製を目的に、同工場内に設けた「生産設備技術部」も手がける設備が増え、人員も当初の2・5倍となる約25人に拡大しているため、新技術棟に移して内製化に一段と力を入れる考えだ。
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日刊工業新聞 2024年01月29日